漏水に悩まされ続けた都心に立つ高経年マンション/Eマンション(東京都荒川区):2020年6月号掲載

設計・監理/有限会社鈴木哲夫設計事務所 福智千秋

 当建物は、東京都心の23区内に建つ、築40年の6階建て73戸のマンションである。過去に大規模修繕工事は数回行われてきたが、一向に漏水が治まる気配がなく、根本的な止水改修を主な目的とした大規模修繕を実施することになった。

◆徹底した止水改修で漏水を一掃(写真‐1)

 当建物は、56階が斜線制限のためセットバックしていてバルコニーが雨掛かりとなり、窓サッシにも直接雨がかかる形状をしているためか、過去に46階に漏水が多く発生していた。屋根及びバルコニーの床防水については、過去の修繕で防水改修が行われているが漏水は改善されていなかった。また、外壁タイル面に漏水対策として塗られた透明な皮膜塗装が白色変質していて美観上は好ましくなかった。

 今回の工事では、屋根等の防水改修やシーリング改修だけでなく、外壁の打ち継ぎ目地部や窓サッシ回りに親水性発泡ウレタン樹脂を注入し、止水工事を徹底的に行った。また、タイル表面の白色変質した皮膜塗装を剥離し、浮き及びひび割れ処理を行ってから、タイル裏への雨水浸入の予防的観点で透明なウレタン防水材を施した。

◆安全性に不安があったバルコニー手すりの更新(写真‐2)

 バルコニーの手すりは、鉄パイプ製で腐食が進み安全性に問題があった。5・6階のバルコニー手すりは、内部に向けて傾斜して設置されており、バルコニーの使い勝手が非常に悪かった。パイプ手すりについては、斜線制限に合わせる必要がないので、垂直なアルミ製手すりに取替え、バルコニーの使い勝手の改善を図った。また、4階以下のスチール製手すりと隔て板や物干金物についてもアルミ製に更新した。

◆エントランス扉を自動扉に更新(写真‐3)

 エントランスの両開き扉は、たびたびの破損補修を実施していたが、居住者の高齢化が進み開閉しづらいという声が多く寄せられ、引き分けの自動扉に改良することにした。また、エントランスガラス屋根のフレーム部と外壁タイルとの納まり不全があり、雨水が染み出るという不具合もあった。この漏水を解消するために、フレーム内側の空洞部の腐食抑止処理に加えて親水性発泡ウレタン樹脂による止水注入処理を施した。

◆外部階段の改修(写真‐4)

 外部階段は、踊り場や階段部を階段用塩ビシート、避難通路も床用塩ビシート張りとし、中壁に補助手摺を設置することで、防滑性と安全性を向上させ、各階の踊り場にLED照明器具を増設して階段照度の改善を図った。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2020年6月号掲載)