百年住宅宣言に基づく共用部分・専有部分の各種配管改修工事 国交省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」も活用/H住宅(東京都板橋区):2020年5月号掲載

 総戸数約12,000戸、都内有数のニュータウンであるHタウンの一角にある当団地は、4・5階建ての中層棟6棟と、10階建ての高層棟3棟からなる446戸の日本住宅公団が分譲した団地です。

 1983年の竣工から過去2回の大規模修繕工事を適時行ってきましたが、給排水管などの老朽化が最大の懸案となっていました。

 そこで4年前の総会決議「百年住宅宣言」により、永く住み継ぐという意識を住民で共有した上で、共用部分と専有部分を一体とした給排水および給湯管、ガス管の全面更新工事を一括して管理組合が行うこととしました。

 配管材料は、架橋ポリエチレン管、塩ビ管、ステンレス鋼管など耐久性の高い管種に更新しました。

 さらに、旧公団の標準設計仕様であるスラブ下排水管(下階住戸の天井内にある排水横引き管)を、スラブ上のルートにあらためることも行いました。

 特筆すべき事として、光が丘パークタウンは建設当初から清掃工場の排熱を利用した地域給湯・暖房システムが採用されていました。

 建設当時は先進的とされた同システムも、近年では経済性や使い勝手の観点から地域暖房サービスの利用者数が著しく減少し、給湯サービスにおいても給湯量不足や浴槽の追い焚き機能を設置できないなどの問題点が指摘されていました。

 このシステムは、敷地内5カ所の熱供給室から全9棟に給湯管往復2本、温水暖房管往復2本の計4本の配管を張り巡らす必要があり、これら共用配管の老朽化による更新費用も管理組合にとっては大きな負担となっていました。

36年使用した排水管・可とう継手(MD)の内部腐食

 そこでこのH住宅固有の課題についても見直すこととし、代替設備の検討を行った結果、地域給湯・暖房方式から離脱して、個別給湯・暖房方式に移行することにしました。

36年使用した排水管・塗装鋼管(ELP)の鉄部消失状況

 それに伴い全戸にガス給湯器を新たに設置することになり、16タイプある住戸平面形状やリフォーム済み住戸の個別状況に合わせて最適な住戸内配管ルートとなるよう細やかに対応しました。ガス給湯器の仕様は管理組合としての「標準機種」を定めた上で、各居住者の希望により給湯量の多い機種や追い焚きなどの付加機能をオプション(自費)で選定できるようにしました。

 戸別ガス給湯方式への変更により初期投資額は増えましたが、毎月の使用料金が下がるので10数年で回収でき、その後は大きなコストメリットが出る見込みで、工事完了後1年を経過した実際の住戸の比較においても、当初シュミレーション通りの料金差額が生まれています。

 調査・計画から着工に至る4年間の道のりにおいては、アンケート調査や説明会を毎年何度も繰り返し行い、丁寧に合意形成を進め、着工後も工事説明会、全戸入室事前調査、個別相談会などを行い工事の必要性や具体的工事内容の理解を広め、その結果全戸で工事を完了することができ、さらには国土交通省の長期優良住宅化リフォーム推進事業の助成制度も活用できました。

(文責・柳下雅孝)

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2020年5月号掲載)