10年補償制度も活用し軽減図る:2001年4月号掲載
T団地
(東京都・多摩市)
団地概要
T団地は、多摩市(多摩ニュータウン)の南部に位置し、1988~1989年にかけ都市公団(旧住宅公団)により分譲された住宅である。高層棟が1棟と中層棟が9棟で合計10棟235戸の団地である。
準備
当住宅管理組合では、平成7年に設立した長期修繕計画準備委員会(現長期修繕計画委員会)による準備活動・啓蒙活動を皮切りに、平成9年に設計コンサルタント(八生設計事務所)を選定し、そのコンサルタントの協力のもと、平成9年から10年にかけ建物診断を実施し長期修繕計画策定の上、修繕積立金の見直しを図った。平成11年には大規模修繕設計に着手し、平成12年に設計完了した。
設計完了と共に同委員会と管理組合理事会の合同で、施工業者選出(指名見積合方式の上ヒアリングを実施)にかかり、見積内容・会社内容・現場担当者の資質等を検討の上、施工業者を選定((株)淺沼組)した。
長期修繕計画委員会は、各棟から選出された総勢二十数名の委員で構成され、この間ほぼ全員出席の元で作業がすすめられた。
工事着工
平成12年9月~平成13年3月を工期に、大規模修繕工事が着工された。着工は足場掛けから始められ、2.4m近く跳ね出したバルコニーが不連続に突出した壁面への足場掛けは、かなりの技術を要した。
劣化・施工不良
足場がかけられると詳細な劣化調査が始まり、躯体コンクリートのひび割れ・錆鉄筋のコンクリート押し出し現象、タイルの浮き・割れはもちろん、屋根瓦の破損やその下地の垂木の腐朽、手摺金物の埋込部の腐蝕、金物の劣化・破損、舗装ブロックの不陸・破損などの経年による劣化部や、コンクリート内鉄筋の被り不足箇所、不良目地処理箇所、不良コンクリート(巣穴、空洞、異物混入、コールドジョイント)等新築時の不良施工箇所を修繕業者のベタラン・スタッフにより徹底的に洗い出した。
修繕
これらの劣化・不良部は、修繕設計書に基づいて入念に修繕され、また予想外の劣化・不良部の修繕方法は、管理組合(理事会・長期修繕計画委員会)、設計事務所、施工業者による合同会議で検討を重ね決定された。
劣化部の補修の後、仕上塗装は塗料メーカーの協力により、設計仕様よりグレードの高い超耐候性のフッ素樹脂塗料を使い外壁や屋根を塗装した。
外壁の色彩は、居住者アンケートを参考に合同会議で決定され、新築時のタイプ毎に異なっていた色を全棟統一色とし、色合いも新築時とは大きく色調を変え、シックで現在の新築マンションを思わせる色彩になった。
合同会議
前述のように工事期間中、管理組合・設計事務所・施工業者の3者による合同会議が十数回開催され、工事の進捗状況・問題点・劣化状況・修繕方法・工事費の増減などの検討・打ち合わせをしながら工事は進められた。
工事見学会
又、各棟毎に合計10回の居住者工事見学会が実施され、普段見られない自分たちの建物の状況や工事の内容を、居住者自ら足場に上り見学した。
<アメニティ新聞223号 2001年4月掲載>