貯水槽方式から直結給水方式へ「ガス管」「給水管」「直結給水への変更」同時期に工事:2004年9月号掲載

ガス・水道同時期工事の為、工事後にはツギハギの舗装ではなくスッキリ全面復旧できた
N住宅

(埼玉県・新座市)

平成16年4月、「埋設ガス管改修工事」、「直結給水方式へ変更に向けた埋設給水管更新工事」、「棟内給水管更新、宅内給水管更正工事」が無事に終了しました。

計画の発端は平成12年度に発生した、周回道路の埋設ガス管のガス漏れでした。築20年を経過する当団地は、東京ガスより埋設されている白ガス管の寿命時期にあたることから、ガス管改修工事の提案を受けました。平成13年度の理事会でガス管改修の検討を始めたところ、埋設給水管の漏水が、なんと1年間に5件という頻度で発生しました。まるで水道管のことも忘れないで、というタイミングと頻度でした。

ガス管、給水管ともに埋設部位が類似していることから、ガス水道の同時期の改修は工事費削減となり、工期短縮により住民メリットも大きいと判断、「ガス水道同時期改修」を目指すことになりました。

大規模な工事になることから、1年任期の理事会とは別に平成14年5月に「長期修繕工事推進委員会」という組織を作りました。そこで具体的に給水管の改修の検討を始めると、当団地の貯水給水方式から「直結給水方式」への変更を目指すという、新たな目標を持つようになりました。それは近い将来に、貯水槽のポンプの取り替えや貯水槽の補修の時期を迎えること、現状でも貯水給水方式は維持管理費がかかること、何より直結給水は国も推奨している給水方式では水質の安全性が保たれること、などがその理由でした。つまり、「ガス水道同時期改修」と「直結給水方式への変更」という、素人発想の欲張りな工事を計画した訳です。

直結給水方式への変更に関して、市の水道部へ相談をすると、市としては条例改正の必要性があることから、条令改正のお願いをするとともに改正後の直結給水方式実現の協議を開始し、同時期工事の具体的な検討が始まりました。

同時工事で費用削減

ガス管改修は東京ガスが窓口であるため、当団地の同時期工事の意向を伝え、この時点で、東京ガスとは工事契約を締結し、工事実施時期を1年後の平成15年度とすることに同意を得ました。また、東京ガス指定のガス管改修工事を実施する業者が、給水管工事も可能であることから、工事業者として選定しました。

コンサルタントの参画は、この業者選定後でした。コンサルの先生や市の水道部担当者から、「普通は、ガス水道工事を一緒にしない」と何度か言われましたが、「同じ所を掘っては埋めて、また掘って、では効率が悪い」という正論をくつがえす理由にはなりませんでした。

このように先に工事業者を決めてしまったため、通常実施される工事業者の入札は実施できません。そこで適正な工事金額の把握のため、3社の設計事務所に「見積り査定」をお願いし、その結果を踏まえて工事費用の交渉を行い、契約に至りました。ガスと給水の埋設管については、同時期工事のメリットを生かせるよう、ここはガスの費用で掘って、給水管を通し、ガスの費用で仕上げる等、両者の工事見積りの調整をしました。特に当団地のテラスハウス棟では、同時期施工による工事費用の削減効果は高くなりました。

尚、各戸のメーターまでの給水管はすべて更新しましたが、メーター以降の住宅内の配管については、更正工事を計画しました。採用した工法は「アクアシャトルライニング工法」で、均一な塗膜ができることと、何より1戸あたりの工事が1日で済み(他の工法は3日間)、住民の負担が少ないことが工法選定の理由です。

平成15年10月1日に新座市より正式な直結給水の認可を受け、工事業者と正式契約を締結し、翌月の11月に工事着工、平成16年3月末に終了しました。工事を振り返ると、「ガス水道同時期工事」と短期間での「直結給水へ変更」という素人発想の工事計画でしたが、コンサルの先生まかせにせず、何より「住民利益」を優先し、住民自身が行政や業者に積極的にアプローチし、主体的に活動したことが、工事実現の大きな要因だと思っています。

<アメニティ新聞264号 2004年9月掲載>