給水管防食対策「線電極防錆法」導入:2002年11月号掲載

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M住宅

(東京都・八王子市)

給水管の更新・更生対策には、様々な方法があり、その特長も様々である。今回は、給水管の防食方法のひとつである「線電極防錆法」を導入した例を、施工会社の呉羽テクノエンジ(株)の施設防食部長の伊村行正氏に報告していただく。


M住宅(1983年竣工、17棟、240戸)では、平成14年7月から9月までの期間で、給水管の防食法である「線電極防錆法(電気防食法)」の施工を終了しました。

当住宅では平成13年に建築から設備まで建物全般の劣化診断調査を行いました。特に建物内の給水管に関しては配管内面の腐食のみならず、敷地内に布設されている埋設配管の外面腐食も含めてどのように計画すべきかの検討対策を進めてこられました。

その結果、当住宅では2008年頃には全体配管の取替えが必要になること、またその費用はマンション全体で2億近い膨大な工事になることが判明しました。そのため当住宅の修繕委員会の方々はさまざまな資料収集並びに技術セミナーなどへも出席し、精力的に検討が進められました。

多くの方法がある中で、
「電気防食は金属の腐食原理に最もかなった確実な方法であること」、
「この方法であれば、将来共に配管の取替えは全く不要になること」、
「工事費用についても、共用部の取替えのために計画されている資金の範囲内で専用部全ての給水管まで対策が行えること」
から、線電極防錆法の採用を決定されました。

施工計画に際しては、給水管内面の防食として共用部給水管及び専用部給水管に線電極を挿入して、微弱電流により給水管の内面からの腐食を止める(流電陽極法)ことと、埋設配管については鋳鉄管を除く埋設配管の外面腐食を止めるためにマグネシウムの陽極を各所に埋設して外面を防食する(犠牲陽極法)ことの2種類の手法を行うこととなりました。

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電気防食法は金属の腐食を止める、まさに的確な方法であり、当住宅では本工法の採用により、当住宅内の全ての給水配管は内面・外面ともに防食されるため、今後の給水管の劣化に関する問題はすべて解消されたことになります。

設置後の維持費用は電源装置1ヶあたりの電気代が年間35円程度と非常に安く、年に1回の点検でメンテナンス費用も殆どかからないのが利点となります。

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電気防食法は従来からの給水管の「劣化対策」の方法と比べて、むしろ「恒久対策」と表現するほうがふさわしい方法です。こうした方法が各マンションの給水問題の解決策としてますます普及していくことを願っています。

最後になりますが管理組合の皆様には多大なる信頼とご支援をいただきました。心から深謝申し上げるとともに、責任をもった適切なアフターフォローを行って参りたいと考えておりますので、今後とも末永くご協力いただきますようお願いいたします。

<アメニティ新聞242号 2002年11月掲載>