アルカリ骨材反応の話
昭和53年、阪神高速道路の橋脚数基に亀甲状のヒビが見つかり、当時は原因不明とされた。しかし、その後の研究で骨材の中のシリカ分がセメント中のナトリウム等のアルカリ成分と化学反応を起こし、珪酸ナトリウム等となり、これが水分を吸収膨張し内部からヒビ割れを起こすことがわかり、これをアルカリ骨材反応というようになりました。
以前には、コンクリートに使用される細骨材(砂)や粗骨材(砂利)は川砂や川砂利が用いられていましたが、ダムの建設が進み川を塞止めたため上流から砂や砂利の堆積が止まり、下流での川砂や川砂利の採取が制限されるようになりました。このためにコンクリートに使用される細骨材や粗骨材は山砂や砕石が多く用いられるようになってその一部がシリカ分を含むものが使われるようになったことから最近特に問題となってきています。
アルカリ骨材反応を促進するためには十分な水分が必要なため、この反応による亀裂の被害はコンクリート打放し面や土に接する部分に多く見られます。タイルや吹付材等で表面が被覆された部分では比較的被害が少ないのはこのためです。
ヒビ割れの特徴は、亀甲状又は鉄筋の方向に平行にヒビ割れる傾向にあり、素人にはなかなか見分けがつきにくい部分です。コンクリート自体、収縮によるヒビ割れが入ることが多く、ヘヤークラック等といわれています。
東北や関西などでは約95%、関東でも約60%が砕石粗骨材が使用されているといわれています。又関西地方や沖縄地方などでは海砂や海砂利が使用されていることも多く、アルカリ骨材反応の助長が大きな社会問題としてクローズアップされ始めました。
現在各方面でアルカリ骨材反応の防止と補修の方法が研究されていますが、まだ実用的な成果を上げてはいません。今後の研究が待たれているのが現状です。