二重床(フローリング)の遮音性能の話-その7-最終回(まとめ)

二重床(フローリング)の遮音性能の話-その7-最終回(まとめ)

フローリングの遮音性能基準が変わりました!

 マンション生活のトラブルで一番多いのが音の問題。上下階住戸の音のトラブルが原因で、転居に至った事例は決して少なくない。
 そこで多くの管理組合では、各住戸がフローリング施工する際に一定の遮音基準を指定してトラブル防止に努めているが、この基準表示が5年前から大幅に変更されており、しかも、その事実があまり知られていなかったため、本紙では防音床材メーカーの担当者に執筆いただいて、基準変更の経緯など、6回のシリーズでお届けした。
 管理組合によっては、現在この旧基準の表示にしたがって、例えば「L45または同等以上の性能を有する床材にて施工すること」などと一定の基準を指定していると思われるが、今回はまとめとして、これを機に基準の見直しを検討される場合の材料提供をさせていただいた。

建物の「音」を巡る状況

 すでにお伝えしていますが、床材の遮音性能を表す「推定L値」は、建物自体の遮音性能を示す「L値」と混同され、また「推定L値」の性能試験に一定の決められた試験方法が無く、各メーカーの製品性能が全く違うことがあったため、5年前に廃止されました。
 音については、JIS規格で「床材がどの程度音を遮音したか」の低減量は示していますが、その性能を等級表示することはされておらず、また「住宅品質確保促進法」でも、音環境は住宅性能表示の中で、基準表示が義務付けられていません。
 そのため、床材の性能基準表示は消費者はもちろんのこと、専門家の間にもあまり普及していないのが現状です。
 そのような背景もあって、床材の試験方法を統一し、かつ普及を目指した基準が「⊿(デルタ)等級」です。「⊿等級」により、どのメーカーの製品でも同程度の遮音性能が期待できることになりました。

 しかしながら、新基準の導入から5年が経過しているので、床材メーカーの基準も全て「⊿等級」になっているはずですが、カタログに「推定L値」と「⊿等級」を併記しているメーカーもあり、業界内でも基準の統一化は進んでいません。
 なぜ基準が統一されないのか。二重床メーカーの団体、「日本乾式遮音二重床工業会」によると、「二重床」は試験方法が床高、壁際の納まりなど細かく決められているため、従来の基準を新しい基準に単純に読み替えることができず、その調整に時間がかかっているとのことです。現在同団体では、従来の基準推定L45と同等の性能を持つ二重床は、軽量床衝撃音⊿LL3以上、重量床衝撃音⊿LH2以上を目安とする方向で検討しているとのことです。

 二重床は、床材と床下の支持脚などの遮音システムが一体となって初めて遮音性能が発揮されますので、この程度の基準でも、防振際根太などの床下のシステムを正しく施工すれば、従来基準(推定L45程度)と同程度の遮音性能は確保できると同団体では説明しています。
 おさらいになりますが、スプーン等の軽い物を落としたときなどの高い音を「軽量床衝撃音」、子どもが飛び跳ねた時などの重くて鈍い音を「重量床衝撃音」といいます。
 以上から、管理組合は基準をどう見直したら良いのでしょうか。
 同団体の方向性によれば、「⊿LLは3以上、⊿LHは2以上」となりますが、先月号のメーカー担当者は、「⊿LLは4以上、⊿LHはカタログの数値にマイナスが含まれないもの」という考え方を提示しています。
 マンションの音で特に問題になるのは「重量床衝撃音」ですが、「⊿LH」を最高等級4にするのは、製品価格が高額になるため、「⊿LH3」を目安にし、かつカタログの遮音数値にマイナスがないものを選ぶよう、注意が必要です。「⊿LL」は、グレードを考慮するならランク4以上が望ましいでしょう。

 

さらに新しい基準も

 業界内には、さらに新しい基準を模索する動きがあります。
 「⊿等級」には、⊿LHの最高ランク4の低減量に「マイナス」がありますが、基準に「マイナス」を認めるのはおかしい、ということから、「A特性」という基準が検討されています。
 二重床の性能評価は、現在⊿等級(低減量)で行われていますが、この評価により各社製品の性能評価はできても、実際に人の耳で聞いたときにどの程度の効果を感じ取れるかまでは判断できません。そもそも人の耳は低周波になるほど、また高周波になるほど感度が下がるので、マイクロフォンで計測した値がそのまま人の耳に対しての騒音の大小にはなりません。
 それに対し、人間の耳の感覚を考慮して補正をした値(周波数重み付け特性)がA特性です。
いつ基準になるのか現時点では全く不明ですが、そのような動きがあることもお伝えしておきます。

(2013年3月号掲載)