新マンション事情

機械式駐車場料金の無料化の流行=詐欺行為の蔓延だ/200年どころか15年しか持たない恐れあり

横浜市にある港北ファミールハイツ438戸、築15年のマンションで機械式駐車場234台を取り外し、自走式立体駐車場353台に改修した。計画対象外駐車台数が120台で、合計は354台から473台になった。4億9140万円の工事費用を要した。大規模駐車場改装のため一時駐車場を、2・5km離れた位置に確保。土地の使用料(2376万円)、駐車場の整備工事費(1670)、監視カメラ設置工事費(155)、送迎サービス交通費(2378)、深夜警備費(263)の合計が6842万円、利用台数200台、使用期間10ヶ月で1台当たり月3・9万円。この他に設計監理料、各種申請費用が加わると、6億円近くの費用を要したことになる。対象外を除き新たな自走式立体駐車場となった353台で除すと、1台当たり170万円の工事費。一時駐車場確保に全事業費の11%以上かかるのは意外に大きな出費であろう。送迎サービスの交通費も大きい(月刊リフォーム2008年3月号、共同五月社・江守氏寄稿文一部抜粋)。代替敷地確保と維持に悪戦苦闘したようだ。
「機械式駐車場を総取替えするには1台当たり、100〜150万円程度かかる。仮に3年、5年、8年周期で各パーツを更新し、15年で総取替えし、この間に2回の鉄部塗装をし、毎年の保守点検費や電気代を加算すると15年間で1台当たり200〜250万円の費用が必要になる。これは月額の駐車料金に換算すると1・1〜1・4万円になる」(「改修によるマンション再生リニューアル」ぎょうせい発行より)。つまり1・1〜1・4万円を徴収できない立地では不適設備になることを示している。

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ところが最近の分譲マンション広告を見ると機械式駐車場にも関わらず駐車料金無料が増えている。これは企業の販売優先策の結果だが、北海道を除いてほぼ全国的に広まっている。マンション販売不振が続けば販売方式として定着する勢いだ。車社会の群馬では200%設置の場合でも駐車無料が登場する。全戸駐車場を確保するため、一部を機械式にした場合は、駐車料金をならして低く徴収することができるが、全面機械式の場合は大規模修繕費の2倍程の費用がかかる。まして1戸で2台保有したら15年で400〜500万円かかる。廃止して埋め戻すのも意外と高い。時限爆弾もここまで大きいと処理できない。多分マンション周辺の駐車場に車が脱出するから、敷地内に放置された機械式駐車場はたちまち錆びだらけの鉄の塊に化す恐れが強い。そんなマンションは、スラム化が急速に進む恐れがあろう。デベロッパーは機械式駐車場が恐ろしいほどの金食い虫であること、事故製造機であることは既に知っているはずだ。駐車料金無料提示の目的は売り逃げを考えているからで、実態は詐欺に近い。良心的な業者が駆逐されやすい。こんな商法に自治体や国が無関心では、街づくりを論じる資格はない。ましてそんな国が、200年マンションを提唱するのは、現実から目をそらすのが目的かと疑わざるを得ない。 (つづく)

(2008年12月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)