入居30年目に屋内給水管更新工事の実施:2014年6月号掲載

団地概要

千葉ニュータウンにある旧公団分譲団地、RC・PC造5階建 11棟260戸、入居1984年(建設
1977年)、分譲時に増築された棟と新たに建設された棟が混在するため、棟形状が7タイプ、住戸形状が12タイプ

化粧カバーによる室内露出配管

工事概要

工期:2013年9月末準備工事着工、10月から調査、本工事11月~2014年4月、竣工引渡5月
設計監理:一級建築士事務所秋設計 施工:京浜管鉄工業(株)
工事内容:棟制水弁以降の屋内給水管更新 ① 棟制水弁をソフトシール弁にて更新 ② 棟ピット内横引き管を高性能ポリエチレン管にて更新 ③ PS内竪管・メータ廻り枝管をステンレス管にて更新 ④ 減圧弁付メータユニットを採用 ⑤ 住戸内専有管を水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管と樹脂製化粧カバーにての露出工法による更新

管材の選択

 更新する管材は、将来の維持管理が最少となり、腐蝕しないかし難い管材とした。特に、ピット内横引き管はEF接合で一体管路となり地震の揺れに強い高性能ポリエチレン管、住戸内専有管は耐食性に優れ施工性が良くコストの経済的な硬質ポリ塩化ビニル管とした。露出工法による住戸内給水管更新工事日数は、事前調査1日と室内工事2日間(2日目は断水)
住戸内配管工法の選択

 U専門委員会が設計事務所の提案を受けて検討、化粧カバー使用により露出配管工法を基準工法として選択した。隠蔽配管希望住戸は、各戸によるリフォーム工事として各戸負担で隠蔽配管にて更新、配管更新状況は管理組合の確認検査をうけた。各戸負担による隠蔽配管工事費は、同タイプ住戸の管理組合契約標準工事費を、全工事引渡後に該当住戸に返金するものとした。

管理組合による給水管維持管理の経緯

 建設時の給水管は直管部がライニング鋼管(継手部はライニング無し)であった。入居後に管理組合では、給水管内の防錆処理として「カルシウム防錆工法(オネストライマー)」を設備した。これにより、管内部ライニング等の更生工事はしていない。

 築30年(入居23年)に抜管・内視鏡による給水管調査を実施した結果、継手部分に錆や錆こぶの発生が顕著に確認され、給水管の更生・更新工事の必要性が指摘された。2011年通常総会承認により給水管更新工事に向けて専門委員会が組織された。その中で、「カルシウム防錆工法(オネストライマー)」の有効性は確認出来なかったとの管理組合の認識により、2012年に「オネストライマー設備」の保守契約は解約された。

 また、早急に管内更生が必要との状況判断がされたが、更生工事費用・将来の維持管理費用の削減策として、10年後に計画していた給水管更新工事を前倒し実施する事とした。但し、今回は棟制水弁更新を含めた屋内給水管更新のみとして、屋外の埋設給水管の直結増圧方式による更新は、近い将来実施する事として長期修繕計画を見直すことにしている。

PS内給水更新

既設管引き抜き

計画から着工までの経緯と住戸内工事の実施状況

 2013年通常総会に於いて設計監理業務委託と給水管更新工事実施の承認を受け、専門委員会では設計事務所を選定委託して、工事内容・工法等施工要領の検討を進めた。又、公募による施工会社の中から見積参加施工会社を選考して、見積合せによる選考を経てヒヤリング等の最終選考の結果京浜管鉄工業(株)を選定した。工事請負契約締結後、工事説明会を2度に分けて実施して工事内容の説明と工事に際しての協力をお願いした。住戸内工事に関しては組合員のご協力により100%の工事完了となった。
 260戸中5戸が個人負担によるリフォーム工事による隠蔽配管実施住戸となった。

工事見学会の開催

4月に実施された施工現場見学会

 共用部工事が2013年12月に終了し、2014年1月より住戸内専有部工事を実施したが、住戸内工事中の4月下旬に、管理組合の協力により施工会社主催で現場見学会を開催した。参加管理組合は近隣の6組合と県外から1管理組合の参加が有り、共用部工事・住戸内更新工事状況の見学と質疑応答等の有意義な交流がなされた。(一級建築士事務所 秋設計)