第2回大規模修繕工事 エントランスのオートロック化で防犯機能を確保:2019年10月号掲載

設計・監理/有限会社 鈴木哲夫設計事務所 福智千秋

 当建物は、ファミリータイプと一部ワンルームタイプの住戸が併設している135戸の建物である。第1回目の大規模修繕工事時の設計・監理の実績を踏まえ、引き続き前回から15年(築27年)を迎えたところで第2回目の大規模修繕を実施することになった。

◆屋根等防水の全面改修(写真‐1)

 屋上陸屋根部は、第1回目の改修では部分補修にとどめたが、数年前の降雪時に漏水が発生したことや全体的に劣化も進んでいることから、今回の大規模修繕時に全面的な防水改修を行うこととした。

 当建物は、各部位ごとに異なる防水材が使われているため、各々に適した防水改修仕様を検討した。最上階陸屋根の露出アスファルト防水部は、断熱材を付加した太陽光高反射仕様の塩ビシート防水(機械的固定工法)で改修し、断熱及び遮熱性能の向上を図った。勾配屋根部は、既存と同様のアスファルトシングル材のかぶせ工法とした。

 また、ルーフバルコニー及び5階陸屋根のアスファルト防水保護コンクリート押え防水部は、通気緩衝工法によるウレタンゴム系塗膜防水を施したうえで、ルーフバルコニーの専用使用部分に長尺塩ビシート張りとし、バルコニーと同様の仕上げとしている。なお、各部のパラペット笠木部は、前回の修繕時と同様にウレタン樹脂防水を施した。

◆エントランスのオートロック化と防犯機能の確保(写真‐2、3)

 エントランスホールの両開き扉は、新築時から開閉が重いという住民の指摘が多く、引分けの自動扉に改良を行った。また、オートロック機能は、ファミリータイプエリアのみであったことから、さらに防犯機能を高めるため、ワンルームタイプエリアを含めた全館オートロック化の検討を行った。既存の自動扉を撤去し、エントランスホール部に自動扉の新設とオートロック操作盤を移設し、ネットフェンスの新設及び高さの改良等を行うことにより、全館のオートロック化を実現している。

◆PCa製外部階段踏板等の仕上げ付加(写真‐4)

 外部階段は、鉄骨フレームと踏板及び踊り場をPCa(プレキャストコンクリート)板で構築したもので、経年による踏板の表面摩耗劣化が目立ってきたことから、踏板と踊り場を階段用の長尺塩ビシート張り仕上げとした。特に、PCa板の挙動があるため、伸縮目地部と段鼻部及び蹴込部を張り分けるなど、張り方の工夫を行っている。

(2019年10月号掲載)