躯体改修に注力した約20年ぶり3回目の大規模修繕工事:2019年5月号掲載

建物概要

 T団地は東急田園都市線「たまプラーザ駅」から徒歩約8分に位置する、丘陵地に建てられた、築50年、1254戸、5階建、47棟、旧日本住宅公団分譲の団地型マンションである。

 同団地ではこれまで2回大規模修繕工事を実施しており、今回の工事は3回目の工事となる。

工事決定の経緯

 今回の工事は、前回工事から約20年後の工事となった。一般に、大規模修繕工事は、前回工事から12年程度を目安に行われることを考えると、長い期間である。その間、管理組合も大規模修繕工事の準備をしてきたが、景気の変動や理事長が1年交代で、前年の課題がうまく引き継がれない等、様々な要因が重なり、総会に大規模修繕工事の議案を諮るものの、通らないということを繰り返すうちに年数が経過した。

 しかし、47棟の建物の中には、風雨の影響を激しく受ける建物もあり、そのような建物では、劣化による漏水事故が発生したことから、2016年から大規模修繕工事を行うことを検討。居住者の建物の劣化に対する危機感も高まっていたため、2017年の総会で、工事の実施が可決された。

 コンサルタントは㈱アーバン・プランニングが担当。

 施工会社は公募に6社が応じ、その中から工事価格や過去の工事経験等から2社に絞り、最終的に建装工業㈱に決定した。

 工事期間は2018年2月から11月まで。

躯体改修に重点

 今回の工事は、外壁、屋上防水、ベランダ防水等、躯体の劣化を食い止める工事を重点的に行った。

 工事中、建物によってはモルタルの浮きが確認されるなど、想定以上に躯体の劣化が進んでいたため、工事に使用する材料費が当初予定の3~4倍程度かかる事態となったが、臨時総会を開き、工事費増の承認を受け、工事が進められた。これは、同団地が大規模修繕工事を行わない期間中も、順調に修繕積立金を積み立てており、工事資金は十分にあったため対応できたという。

施工会社の配慮が好評

 規模の大きな団地のため、工事期間が一年近くあったものの、居住者からのクレームも特になく、工事は終了した。その要因には、同団地の大規模修繕委員に一級建築士がいたため、施工会社との意思疎通が速やかに行われたことや、コンサルタントの工事チェックが厳しく行われたなどいくつか理由はあるが、最も大きいのは施工会社の細かな配慮であった。

 改修工事は人が住みながらの工事となる。そのため、工事の騒音や塗料の臭いも発生する。また、工事中は洗濯物を干せない等、日常生活に影響もあるため、居住者への配慮が欠かせない。その点、今回の施工会社は、工事説明会や工事予定を事前に、かつ余裕をもって棟ごとにホワイトボードに張り出して、周知に努めたほか、工事現場でも作業者と住民とのコミュニケーションをきちんととるなど、細かな配慮を行っていた。

団地の今後について

 今回の工事により、同団地では当面安心して住み続けられる環境が整った。しかし築50年を超える同団地では、今後団地をどうしていくのか、建替えも含めて検討していくという。

T団地全景

(2019年5月号掲載)