第3回目の大規模修繕工事で照明のLED化等グレードアップ工事も:2017年10月号掲載

1.建物概要

 A団地は、小田急線本厚木駅から徒歩圏内に位置し、竣工が昭和54年、建物はプレキャストコンクリート壁式構造で5階建が全12棟、計280戸の旧日本住宅公団(現・都市再生機構)分譲の団地型マンションです。

2.大規模修繕工事までの経緯

 A団地の修繕履歴は、築12年目と24年目に計2回の大規模修繕、築25年目に台所系統排水立て管の取替、築32年目に建物内の共用給水管の取替、築35年目に浴室・洗面・トイレ系統排水立て管の取替と、今まで計画的に各種の修繕工事を実施してきています。管理組合では、前回の大規模修繕から12年が経過し、第3回目の大規模修繕工事を計画する時期となった築36年目に、修繕時期・範囲・方法を検討する基礎資料とするために、設計事務所に依頼し、建物調査を実施しました。

 調査の結果、劣化の程度は部位毎に異なりましたが、階段室内やバルコニー天井面のコンクリート躯体に鉄筋爆裂が多く見られたため、鉄筋コンクリート造の建物の維持保全として重要な工事項目である躯体劣化部の補修の重要度を考慮して、大規模修繕工事は予定通り進めていくこととし、具体的な工事内容の検討を平成27年の10月から始め、平成28年11月の総会で工事の承認を受け、平成29年の2月から工事を行いました。

3.工事内容

 今回の工事の設計段階では、アルミサッシ・玄関扉の建具改修を大規模修繕と一緒に行った場合の工事内容・工事費についても検討を行いましたが、最終的には大規模修繕とは切り離して単独で行う方針に決定し、今回の工事は外壁等の修繕を基本とした大規模修繕工事を行うことになりました。

 大規模修繕工事の内容は、今後にアルミサッシ・玄関扉の建具改修が控えていることもあり、建物の維持保全上必要な工事、足場が必要な工事以外は、同時に実施した方が合理的であるグレードアップ工事にとどめ、全体の工事費の削減を図りました。

 具体的な工事項目は、コンクリート躯体の補修、PCジョイント目地等のシーリング改修、外壁塗装の塗替、鉄部塗装の塗替、劣化金物の取替(樋支持金物・手すり目隠しパネル等)、バルコニー・階段室床面の防水改修などの必須の工事に加え、階段室照明器具のLED化、集合郵便受けの取替(A4用紙・角2型封筒が入るサイズのダイヤル錠タイプ)等のグレードアップ工事を行いました。

階段室床面防水改修

4.外壁塗装色の検討

 工事着工後に、外壁塗装色を3案作成し、管理棟への見本塗り・カラーシミュレーション掲示を行った上で、居住者へのアンケートで外壁塗装色を決定しました。決定した案はモノトーンの色使いでベースの白にアクセントでグレーを2色使ったもので、今までの水色系のアクセントに比べ、シンプルではありますが、飽きのこない落ち着いた色彩となりました。

5.最後に

 今回の工事は、劣化の補修を前提とする建物の耐用年数を延ばすことに主眼を置いた大規模修繕工事でした。工事においては、特にコンクリート躯体の劣化部の補修をしっかりと行うことが重要であるとの考えで進めており、階段室内・バルコニー天井面等の躯体劣化部の補修で、コンクリート斫り時の騒音・振動が発生し、居住者に負担をかけることが多くありましたが、居住者の工事への理解と協力のおかげで、無事に工事が完了することができ、感謝する次第です。

(有)八生設計事務所 鈴木和弘

建物外観

設計・監理=(有)八生設計事務所
施工=建装工業(株)

(2017年10月号掲載)