全戸玄関扉、窓サッシ、浴室排水管更新等設備改善にも注力した大規模修繕工事:2013年9月号掲載

団地概要

 この団地は、1967年(昭和42年)にUR都市機構が分譲した、築46年、鉄筋コンクリート造5階建、階段室型8棟(3DK4棟/3LDK4棟)計250戸の中規模中層マンションである。

窓サッシも全室更新

 団地の特徴として「生活面」では、南向きに3部屋あり、水回りの部分に窓があって、日照や風通しが良く、敷地は 6400坪、棟前南に芝生、周囲には樹木や植栽が多くみどりが豊か。

 「管理面」では、「マンションを買うなら管理を買え」と言うように、同管理組合は、規約に沿って輪番で選出される住民理事で構成される理事会、理事会を補佐する各種委員会、それらをサポートする組合事務局の手で、管理組合費や修繕積立金の徴収、場内清掃、植栽管理などの日常管理業務、大規模修繕工事に至る管理組合業務の全てを実施している。

 今のマンションに比べれば「劣る点」もあって、階段室型でエレベーターがない、旧耐震基準設計のため、新耐震基準不適合。ただ、第6回地域危険度測定(東京都)では、建物の倒壊、火災の発生・延焼危険度は「この地域は都内トップクラスの低さ」(4532位/5099町丁目中)であり、阪神淡路大震災や東日本大震災のケースでも、当団地のような中層公団住宅は被害が非常に少ない。「旧耐震基準だから危ない!」とは一概には言えないのでは。

 工事実施に至る経緯は以下の通りであるが、実施までに足掛け8年を要している。また今年6月29日にはNPO日住協主催による工事見学会が開催された。

・H17年度=設計図書(構造計算書、計画通知書等)を整備。
・H18年度=「規約改正委員会」を設置して、関連細則規約類を整備。「会計システム検討委員会」を設置して、管理費及び 修繕積立金・共有施設会計を2会計システムに統合し「収支状況」を透明化。「長期資金計画委員会」を設置して、長期修繕計画素案作成について、外部コンサルタントと契約。 計画立案の合言葉としては、(1)「入居時の満足と誇りを持ち、安心して長く住み続けられる団地づくり」(2)今後30年間の資金計画と長期修繕計画及び長期資金計画を策定(3)計画づくりは外部コンサルタントを利用(住民専門家も住民目線に徹する)。
・H22年度=「平成25年度大規模修繕工事に向けた修繕委員会」を設置して、住民要望の徹底的な調査(アンケート3回、住民説明会3回、委員会だより40通を発行)、実施設計者・監理者、施工業者選定方法の検討を行った。
臨時総会で「H25年度大規模修繕工事及び予算」の承認を以下の通り受けた。工事監理者/(株)汎建築研究所、施工業者/フジミビルサービス(株)、工期=H25年1月~7月、総工事費=5億4千万円。
・平成25年度=大規模修繕工事の実施。
工事範囲並びに内容は次の通り。
○外壁塗装=全ての外壁塗膜を原則剥離再塗装、ベランダ内壁・天井・大庇の天井部分も同様に再塗装
○屋上防水=下層に断熱材を追加敷設、遮熱塗装し再塗装
○ベランダ床=部分剥離と段差の補正・勾配調整の上、再塗装
○玄関扉・その他扉類=玄関扉(幅広のポスト口とし耐震蝶番付)・物置扉・MB扉・1階人通口はいずれも更新(カバー工法)
○窓サッシ=全室更新(カバー工法)
○浴室排水管=床下横引き管更新、共用竪管は樹脂塗膜により更生
○その他=物干し用金具は伸縮式、北側の雨樋は掃除口付き、トイレ通風口扉はスライド式ステンレス扉に、いずれも更新。外灯用分電盤は、劣化して接触不良など障害が発生していたので更新。

 なお、玄関扉、窓サッシ、浴室排水管の更新(一部更生)工事は、在宅工事のため居住者の在宅確保に難渋したが、施工会社の現場関係者の献身的尽力により無事終了した。同社の工程管理への労を多とする。

工事案内の掲示板、右は更新した玄関扉

(K団地・修繕委員会委員長・福間 健一郎)

「設計・監理=株式会社汎建築研究所、施工=フジミビルサービス株式会社」

(2013年9月号掲載)