入居42年目に給水管更新工事 工事に伴い洗濯機専用給水栓並びに洗濯機防水パンを設置(その2):2011年9月号掲載

H住宅給水管改修工事(千葉県千葉市)(その2)

メーター以降の専有部給水管の更新

◆工事計画

 前号でも記載したが、H住宅管理組合では、15年周期で給水管内部ライニング施工による計画修繕を2回実施してきた。1999年第2回目更生工事時の詳細調査の結果、3回目の更生工事は配管の劣化状態から施工不可能なため更新工事として計画する方針を固めた。修繕計画では2013年に更新予定としていたが、浴室給水管劣化による階段室内壁への漏水発生と以前に屋外埋設給水管(鋳鉄管)の破損による漏水が発生していた事と、近年大規模地震の発生も予想されており、震災時の給水管破損による断水を避けるために、給水管更新工事を前倒しで実施する検討に入った。2009年に住戸内専有部給水管(白ガス管)についても詳細調査を実施した上で、2010年中に共用部給水管の更新工事を完了し、2011年1月~7月迄に全住戸(1530戸)内の専有部給水管の更新完了を計画。

(1)管理組合一括工事
 管理・費用負担とも住戸所有者となっている専有部給水管の更新工事を修繕費積立金を使っての管理組合一括工事としたのは、管理組合規約に於いて〝本来専有部分につき、費用は各戸負担であるが、管理不能な部分は組合で負担する。但し工事に伴う仕上げ材の床、畳等の補修費用は各戸の負担とする〟との取決めに基づいたもの。

(2)露出配管工法の採用
 配管工法は基本的には「露出配管化粧カバー工法」を採用。採用した理由は、(1)工事費用を安価に抑えるため。隠蔽工法の場合には、住戸内の仕上げ材の解体復旧が必要となるので工事費用が高価になると共に、前記の規約により、各戸負担の工事費用が発生する。
(2)隠蔽工法と比較して工事期間が大幅に短縮出来る。なお、基本的にと記載したのは、1階住戸については横引き配管部分を床下ピット内配管として、住戸内露出配管部分を立上り配管等最小限にした事による。また、全戸に洗濯機用給水栓を新設した。

◆工事不要住戸と不要工事項目の対応

(1)リフォーム住戸の対応
 各戸負担で給水管更新工事を含めたリフォーム住戸については、申請時に今回の配管工事仕様での施工を指定。その為、本工事の際に確認の上、住戸内給水管工事対象から除外した。その住戸数は1530戸中フルリフォーム済が13戸、一部配管リフォーム済が12戸。

(2)フラッシュバルブ更新の対応
 トイレフラッシュバルブも更新対象だったが、4、5階住戸はロータンク方式の為、一部タイプの住戸を除いてフラッシュバルブの更新工事は不要となった。また、1~3階住戸に於いても自費でロータンク方式に変更している住戸も同様に更新工事は不要となった。

◆オプション工事等の対応

(1)1~3階トイレのロータンク方式化
 1~3階住戸で希望住戸にトイレのフラッシュバルブ方式を無償で隅付ロータンク方式に変更。メリットは使用水量の減量とメーターからの引込配管径が25mmから20mmになり露出配管カバーが細くなり意匠的に向上。
(2)オプション工事
 希望住戸には、浴室・キッチンリフォーム、洗面台・便器等の更新等のオプション工事にも対応。

【工事仕様】
 給水管については今後の維持管理が不要とすることを前提として仕様を検討した。腐食しない事と地震等の揺れや地盤沈下等により破損しない管材使用とした。
〔管材仕様〕水道メータ廻り給水管=ステンレス鋼管(SUS304-TPD)、水道メータ以降専有部給水管=水道用耐衝撃性硬質塩化ビニル管(HIVP)
〔配管工法〕住戸内配管は露出配管化粧カバー工法
管理組合の対応
管理組合では工事期間中は月1回の定例会議を開催して施工者と協議。また、必要事項発生時にはその都度打合せをすると共に、不在住戸及び連絡の付かない住戸の対応等全面的に工事進捗をはかった。

(設計・監理=一級建築士事務所・秋設計、施工=6街区担当/建装工業株式会社、7街区担当/京浜管鉄工業株式会社)

<アメニティ新聞348号 2011年9月掲載記事>