3回目の大規模修繕工事:2009年4月号掲載

玄関扉の更新、地デジ対応、電気増量工事も同時施工

 大規模修繕工事中のN住宅において平成20年11月14日、同団地管理組合法人主催、NPO日住協共催による工事見学会が開催され、10管理組合16名の参加者があった。工事の内容については、同管理組合大規模修繕工事専門委員会に以下ご執筆いただいた。

今回工事の主な特長
1、設計・監理方式による工事
2、建築改修・改良・改修、地上波デジタル共聴設備改修、改良工事
3、電気増量その他工事

 昭和47年秋に入居が始まってから37年、3回目の「大規模修繕工事」が終了した。
 16カ月という長い工期であった。振り返って見れば、平成15年度通常総会後に発足した「大屋根防水・外壁塗装工事専門委員会」が動き出した。当時原因不明の水漏れが多数発生していて、特に大屋根、外壁等からの件数が多く、管理組合営繕部会を悩ませていると同時に、その補修に少なからず費用が支出されていた。

 水漏れの原因と思われている大屋根防水層目地(継目)の劣化、外壁目地シールの劣化、浴室のバランス釜が構造体(外壁)を貫通している壁の上下部分が内側に勾配となっていて、降雨時特に北風を伴う時点で、浴室、トイレ、洗面所、北側居室等に漏水が発生した。これらの雨水の浸入によってバランス釜を支持している木枠を腐食させ、漏水となっていた。

 また、外壁の目地シールの劣化部分よりの漏水と降雨時の悩みと同時にその費用の増大に早急な対応が求められた。

 委員会では漏水等に根本的に対処するには、定期的な修繕として「大規模修繕工事」を早急に行うことが必要と結論するに至ったが、現状の技術的、専門的な調査を行い修繕計画を立案し実施することが急がれた。

足場の設置

 平成17年春、劣化度調査及び修繕計画を作成のための設計事務所に見積参加を呼びかけるべく公募を行い、適切と思われる事務所を選別しヒアリングを行い、契約・調査・修繕計画書の提出を受け、改修設計・工事監理者の選定となった。

 RC、PC構造5階建て37棟990戸他付属棟という大規模な団地の改修工事を受注可能な業者の選定には見積参加業者の公募、選別、ヒアリング、決定、契約、工事説明会、施工という流れを策定した。
ここで「大規模修繕工事」の内容を述べてみる。

(1)改修設計・工事監理業務。改修、改良、改善範囲の決定及び工事内容、材料等の適正使用チェック等工事全体の工事監理。
(2)建築改修、改良、改善等工事、地上波デジタル放送共聴設備改修工事。
(3)電気設備改修、改良工事。電気増量30Aを50Aに増量のため引込盤、幹線等更新。戸別分電盤更新、屋内共用配線、照明器具更新、屋外共用外灯配線、コンクリート柱、照明器具等更新工事を行う。

地デジ受信点

妻側引込盤

建築改修等工事の内容については以下となる。
(1)仮設工事(共通仮設、直接仮設)(2)躯体改修工事(3)タイル工事(4)外壁等塗装工事(5)シーリング工事(6)鉄部等塗装工事(7)防水改修工事(8)付帯工事(9)改良その他工事。今回の修繕工事の特徴としては、大屋根に配線していた線等支持物などをすべて撤去。玄関扉の更新、地デジ対応、各戸の電気増量を50Aに増量等で住民に好評であった。今回の工事で無事故無災害を達成し、無事終了できたことは(株)東京建物リサーチ・センター、(株)長谷工コミュニティ、(株)弘電社、マスプロ電工(株)の施工業者が工事監理者の指示を遵守した賜物と深く感謝している。
(大規模修繕工事専門委員会 総括委員 小松 清)

設計・管理/(株)東京建物リサーチ・センター、施工/(株)長谷工コミュニティ

<アメニティ新聞319号 2009年4月掲載記事>