管理費等滞納問題を再考する④管理費等の重要性をどう理解・認識するか(2)

管理費等の重要性をどう理解・認識するか(2)

 

滞納履歴の正確な把握を!(2)

 

支払能力がない場合の対応

組合員の中には不本意に経済的に苦しくなってしまうような生活状況に直面していく場合がある。例えば、企業のリストラ等が原因で再就職がなかなかできない、自営業の経営不振で所得がなくなる、長期にわたる闘病生活で家計が逼迫してくる等々、そのような事情が明らかになってきたとき、滞納管理費等の支払いをもとめて、どのような対応策が考えられるだろうか。
収入の手段を失った組合員に対し原則的に督促を繰り返しても目に見える効果は何もない。家計が困窮しているのだから、督促するのは空しい、滞納額はふえる一方である。だが管理組合は手をこまねいていてよい筈がないのだが、管理組合と組合員、債権者・債務者の関係で、管理組合として強制措置に躊躇し、苦慮しているうちに3ヶ月が過ぎ長期化するうちに、思いがけない深刻なケースに出会う。過酷な現実、滞納組合員の自己破産と行方不明である。
長期滞納者の背後には、先に述べたような原因を契機にして深刻な現実問題が隠されている。何らかの事情で多額の債務を負い、不動産は抵当権者に差押えられ、返済不能、本人が選択した最終的な手段が破産申立であり、他方、行方不明。その結果、管理組合が始めてその窮地を知る。
今回は自己破産になったケースを論じ、次回に行方不明になったケースについて言及する。

自己破産・・・2タイプある(1.小額管財事件 2.同時廃止事件)

1.小額管財事件の場合

まず、本人が管轄の地方裁判所に申立をして、破産宣告をうけたあと、その破産宣告を受けた滞納組合員(債務者)について、同管轄の地方裁判所から破産申立事件として破産決定した書面(写し)が管理組合(債権者)に届く。これは債務者本人の代理人弁護士から連絡される。管理組合はこの弁護士からの通知ではじめて現実を知るのである。裁判官の「支払不能の状態にある」の理由により「破産決定」したという主文、今後の手続きとして破産管財人(債務者代理人の弁護士と異なる別の弁護士が選任されている)の氏名・住所、債権届出期間、債権者集会期日、債権調査期日がその書面に記載されている。管理組合はそれに従い手続きを進める(註5)。
理事長は債権調査票を作成、指定期日までに送付し、債権者集会に臨む。管財人弁護士から、破産者の財産目録(資産の部と負債の部)が法廷で公開され、さらに資産の部の収支計算書が提示され、差し引きゼロの報告文書が交付される。これに異議を申立てる債権者がいなければ、審理は確定し、破産手続きは終了する。債務者保護、免責となる。
管理組合は滞納管理費等をいつ手にすることができるのか。本人の区分所有不動産が競売・売買され、所有権が移転したとき、区分所有法第8条に基づき特定承継人(新所有権者)に請求できるので、入居手続きの際、請求して滞納管理費問題は解決する。

2.同時廃止事件の場合

本人が破産申立をし、小額管財事件同様、管理組合は債務者代理人弁護士から「通知書」を送られ、ことの成り行きを知る。この段階で債権調査票として債権届出書(滞納管理費等請求額)を提出。小額管財事件の「事件」との相異は、裁判官が破産の審判をする過程で、すでに負債の方が多額で資産がマイナスであるとわかると破産手続き開始と同時に破産手続きを終了して、破産の決定と同時に免責の許可をすることができる(註6)。債権者集会はなく、免責についての意見があれば、明示された申述期間に書面を提出する(註7)。滞納管理費等の請求は小額管財事件の「事件」と同様の過程を経る。いずれも、滞納履歴の正確な把握が大切であることを実感する場面である。

(註5)破産法第126条1項、同第142条
(註6)破産法第216条
(註7)破産規則第76条1項、2項。破産法第252条1項 参照。

(2005.11)

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