管理費等滞納問題を再考する①(管理組合理事長の体験から) – はじめに

多くの管理組合にとって、最大の悩みは管理費等の滞納問題。滞納が増えれば、管理組合としては唯一の財源を絶たれることになり、組合運営そのものが頓挫しかねない。日住協・法律相談会での相談の大半もこの滞納処理について。本紙ではその都度相談担当弁護士の解説を掲載しているが、今回は視点を替えて、管理組合理事長として実際に滞納処理に当たった立場から、この問題についてNPO日住協理事・桑原氏に執筆いただいた。シリーズでお届けする。

桑原氏

 

はじめに

周知のとおり建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法と略記)が平成14年 12月4日(平成15年6月1日施行)に三度目の改正をみました。
今回の法改正に連動するとともに、社会状況の変化に対応して、中高層共同住宅標準管理規約がマンション標準管理規約(以下、標準管理規約と略記)という名称変更にも表現されているとおり、多くの角度から改正されています。

滞納者が抱える社会問題にもふれる必要があるのでは…

標準管理規約の注目すべき改正規定のひとつとして、管理費等の滞納問題解決の重要性 に着目したと考えられる条文が初めて登場しました。区分所有法第18条の任意規定を管 理組合の実情に合わせて、具体的規定の確立を明示することで、滞納問題解決に機動性を 持たせたことです。
標準管理規約で明文化されることによって、区分所有法上の任意規定があたかも強制法 規約意味的役割を見る思いです。
この新規定が導入された事実からみても、マンション管理組合を取り巻く法的・社会的 背景を考えてみる場合に、いかにマンション管理の悩みの典型的な問題が管理費等の滞納 問題であるかが公的に認識されていることが理解できます。  ここからも具体的に管理組合の立場から再考しておくべき必須の課題であると受け取ら ざるを得ません。

そこで個別の管理組合問題として直面している深刻な滞納問題も、各管理組合共通の課 題として事実を知っておくことは、健全な管理組合の立場から共通の価値がある管理問題であると思います。
滞納問題は多数の管理組合にとって常に上位にランクされる重要な課題であることはよく知られています。マンションの維持・管理の財源である管理費等の滞納が多くなれば適切な管理を目的とする管理組合の存立基盤を弱体化させるものであり、区分所有者に共有部分の維持・管理の実効性にかかわる財源への危機感を抱かせる不安要素の最たるものですから、早期に適時解決することが肝要であることはいうまでもありません。
なお、区分所有者の共同の利益に反する滞納問題について、解決への手がかりを考えていくにあたり、滞納にいたる区分所有者の抱える社会問題にもふれる必要があると思います。滞納問題の解決あるいは解消について、どんな方策が考えられるのか、いくつかの事例・判例を通して実践的に再検討しておきたいと思っています。

本稿では、このような問題意識により、管理費等滞納問題を再考していく予定です。次回から、管理費等滞納問題の解決方法を中心に論じていくことになります。

(2005.08)

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