新マンション事情

日本シンドロームは世界の課題
分譲マンションを取り巻く社会環境の悪化に、管理組合は何が出来ますか

 1月10日NHKテレビは「日本シンドローム」について放映した。日本は世界に類例がない速いスピードで少子高齢化が進行しており、この様子をドイツは重大な関心をもって研究班を設置し、調査を開始した。消費が低迷し、雇用が不安定化し、若者が結婚出産をためらい、再び消費が低迷する縮小スパイラルに対して、多くの日本人の呆然自失状態を映し出した。長崎市の市街地に廃屋が誕生しつつあることを取り上げる一方、日本再生のヒントとなる科学技術の可能性に言及していた。EU諸国も日本と程度の差はあれ人口の高齢化、経済の低成長化が懸念され、日本の状況に無関心でいられないようだ。筆者は住宅の空き家化、マンションのスラム化について、これまでも本紙にたびたび掲載してきたが、たまたま昨年7月に都市問題に関心ある有志が集まり、少子高齢化における大都市圏の縮小についての共同研究を着手することを申し合わせた。そこに強力な研究のライバルが現れたのだから、大いに奮い立っている。とは言え75年先に日本の人口は半減すると予測されているものの、未経験の世界だから、問題の大きさや広がりに実感を持ちにくい。
 ところで全国の人口がまだ減っていない状況でも、地域別に見ると空き家率格差が拡大している。人口変動が住宅需給バランスを変えているからである。

 平成20年の住宅土地統計調査結果では、全国平均の空き家率の最低は沖縄県の10・3%、最高は山梨県の20・3%である。ところが住宅種別に見ると、木造共同住宅の場合、最低は東京都20・4%、大阪府43%、非木造共同住宅では最低は沖縄県12・2%、最高は福井県の33・8%で、長屋では東京都11・4%、福井県39・3%、中心商業地の空き家率は宮崎県12・6%、群馬県と和歌山県が28%である。これを市区レベルで見た場合、最高は神戸市東灘区で、48・2%に達する。持ち家共同住宅の単身率は奈良県18%、秋田県44%である。青森、群馬、岩手、栃木、新潟県が何れも40%超である。地元では間違いなく不人気住宅だから値下がりも速い。全滅に向かう恐れなしとは言えないようだ。住宅種類別空き家率と全住宅の空き家率とは相関しない。地域事情の違いが反映するためである、非木造共同住宅は地域のマイカー保有率を、木造共同住宅の場合は地域の1棟の規模格差が反映する。戸建住宅は建て替えや滅失が容易であり、空き家として長期に存続し難い。従って戸建が多い地域ほど全体の空き家率を下げる。共同住宅ストックの都道府県別で最高の空き家比率で、3割、4割に到達する理由は、集合住宅の構造上の理由の他に、建て替えても新規入居者を期待できない立地の住宅事情が原因している。この上人口減少が加速したら共同住宅の建て替えはより困難になる。近い将来に空き家率が住宅種類、立地によって6割、7割に達しても不思議でない。1棟丸ごと空き家になったら、買うにしても借りるにしても勇気が必要になる。
 従来の都市計画、住宅政策では足らないものを後から加えれば済んだ。ところが人口減少社会では不要となったビルや住宅、公共施設、公共交通機関、道路等を間引きするか他の用途に変換する必要が生じる。利害が絡むほど合意形成は至難である。(つづく)

(2011年2月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)