新マンション事情

中心商業地の空き家率増加
空き家対策なしでマンション供給した結果が

 図は群馬県の住宅土地統計調査結果による都市計画用途地区別の空き家率の経年変化である。群馬県の中心商業地の空き家率は28%で、和歌山県と並んで全国1位の高さを示す。  昭和63年までは中心商業地が他の地区と比べて特段に高い訳でなかったが、平成5年以降では全体の空き家率が増加する中で、中心商業地が抜き出て空き家率を上げた。市街化調整区域における空き家率増加は極めて少ないが、市街化調整区域はこの間主に住宅区域や工業区域に繰り入れられた地域も多く、面積は一定でない。中心商業区域の空き家増加の理由は以下の通りである。  (1)都市そのものの人口が増加し、郊外に都市が膨張する過程で、中心商業地の人口減少、商店の閉鎖が継続した。郊外に人口や商業施設が移転した理由は、群馬県全体が車社会化したことが最大理由で、工業団地造成による工場誘致、公共道路の敷設、大型店舗の進出等とリンクする。高齢者居住施設の多くは新設であるが、新設移転を問わず小中学校、幼稚園、大学、診療所、病院までもが地価の安い市街化調整区域に飛び出すのだから、中心地域の空洞化がますます進んだのである。  (2)中心市街地から郊外に移転する者は比較的若い年齢層で、中高年の持ち家層、専門店店主等はそのまま残りやすく、結果として高齢者世帯の割合が高まった。地域の活性化を叫ぶ店主は実は郊外に別の店を持ち、中心商業地に閉じた店を保有するものが少なくない。

 (3)空き住宅が発生する理由に、個人では建て替えられない住宅が多いことも理由となる。4m道路に接しない住宅が数多く残されていること、非木造共同賃貸住宅では、全戸住民が居なくなるには時間がかかること、立ち退きを求めた場合に対処できない場合が多く、首尾よく建て替えが出来てもテナントが入る見通しは少ない。分譲マンションの場合は地方都市では地価が低すぎて建て替えは困難である。  (4)中心商業地は鉄道駅を中心にする場合が多いが、バス交通網が崩壊しているから鉄道の乗降は高齢者か学生に限られる。鉄道駅と脈絡無く膨張した郊外はマイカー通勤が普通だから、鉄道駅は交通の結節点としての意義は失われた。  ところで中心商業地の都市別の空き家率は平成20年の住宅土地統計調査結果が公表されなかったので、ここでは平成15年の結果を示すが、前橋市23・3%、宇都宮市37・4%、水戸市26・3%と北関東の県庁所在地の空き家率の高さが目立つ。 東京都心と全く違う状況に見えるが、大都市圏郊外の先にこれら都市があるのだから、実は連続した現象である。中心商業地の空き家率は40〜50kmの13・7%まではさほど変化は無いが、50〜60kmで16・9%、60〜70kmで19・3%と急増する。大都市圏周辺部の中心商業地の空洞化が始まっている。多分これらの数値は20年時点ではかなり上乗せされているに違いない。リーマンショック以降途絶えていたマンション建設が、近年北関東県庁所在地しかも中心商業地に再開されつつあるが、空き家対策なしで新築供給をすれば地域の空き家率増加は間違いなく進行しよう。それにつけても宇都宮市の37・4%はすごい。空き家めぐりの観光地になれそうだ。(つづく)

(2010年12月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)