新マンション事情

分譲マンションの新たな課題―単身化の波に管理組合はどの様に付き合うべきか

少子高齢化があらゆる分野で影響を持ち始めてから久しい。人口が減少してもしばらくは世帯数が増加するが、理由は家族規模の縮小による。当然分譲マンションの家族規模も縮小しているが、立地で規模格差が大きい。図は都道府県別の持ち家共同住宅比率(対全住宅数)別に持ち家共同住宅世帯の単身率を示したものだ。東京都を除く大都市圏で単身率が低く、一方マンション後発県の東北、北陸および北関東の一部で単身世帯率が高い。最も高い値は秋田県の44%、次いで青森43、群馬42.8、岩手41.4、栃木41.2、新潟40.3、福島39.3、山梨39.3、福井37.7、富山37.5、山形36.6、石川35.1と続く。これらの県の内、秋田、青森、岩手、新潟、福島、山形、富山、石川は県内の全住宅の平均床面積が大きく、持ち家共同住宅の平均床面積を大幅に上回る。群馬、栃木、山梨、富山、石川は県民の自動車保有率が高く、非木造共同住宅の空き家率が高い。何れの県でも戸建て住宅取得が容易だから、マンション需要者は単身者か夫婦のみ世帯に限られるようだ。
謎は東京都の単身率の高さである。政令指定都市の市区の家族人数を調べるとその謎が解ける。東京都を除く政令指定都市の区の中で家族人数2.2未満の区は札幌市の中央区2.15人、愛知県の中区2.08人、大阪府の中央区2.06人と浪速区2.17人で、他の政令指定都市の中心区は全て2.20人以上である。いずれも帰属する政令指定都市の平均家族人数を大きく下回る。中心区の家族人数が小さい理由は、地価が高いにも関わらず、業務地区と混在することで、必ずしも良好な子育ての環境が得られるとは限らないことが上げられる。但し中心市全体で見れば、域内にも郊外住宅地を含むから、中心区の影響は小さい。一方東京都の場合は2.2人未満の区の多数出現し、東京都全体の家族人数を下げる。ちなみに2.2人未満の区は12区あった。具体的には港区1.79人、中央区1.89人、渋谷区1.95人、世田谷区1.96人、目黒区1.99人、新宿区2.02人、豊島区2.02人、千代田区2.06人、杉並区2.08人、台東区2.15人、品川区2.16人、文京区2.18人である。国勢調査では50万人以上市区について単身率が集計可能であり、世田谷区で47.0%、杉並区で39.5%と判明した。従って港区、中央区の単身率は50%以上と推測可能だ。なお京都府内の5区が2.2人未満だ。これらの地域には所得の高い専門職の晩婚・未婚者が多数集積すること、土地柄防犯性能が強く要求されること等が持ち家共同住宅世帯の単身化に繋がったようだ。

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ところで、東京多摩地区、神奈川、千葉、埼玉県の場合は東京区部から押し出されたか東京区部に入れない多数のファミリー世帯がマンションを購入する。都心から40〜50km帯までは持ち家共同住宅世帯の世帯当り家族人数は増加するが、50km以遠で減少に転じる。東京から押し出されるファミリー世帯も遠隔地では少数派となる。戸建て住宅の取得が容易になるからマンションの相対的魅力は低下する。今後大都市圏に於ける世帯数の減少が本格化すればファミリー世帯による購入限界地が都心に近づくのは十分予想できる。(つづく)

(2009年9月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)