新マンション事情

不良住宅は仲介取引のダシになる恐れ

3階建て、1988年分譲、高崎駅から車で15分、68m、駐車場は平置きで1台目無料、2台目から有料。中心市街地の高層ビル群をパノラマで眺望できる山の中腹に立地する14戸の一階住戸がなんと180万円。管理費+修繕積立金合計で月3000円、区分所有者の自主管理が気になるが、ともかく現地で検分することにした。
プロパンガスで集会所、管理事務所はないが、うっそうと茂る木立ちと絶景の景色を満喫できる位置だから、別荘気分を味わえる。駐車場も広い。戸建の市街地がマンションの足元に迫るが、その屋根越しに市街地を一望できるから、将来高い建物が建てられても景色が遮断される不安は無い。問題は建物の傷みだがコンクリートに大きな亀裂が走っている訳ではなく、ベランダのアルミ製手摺の柱が埋め込まれているコンクリート部分で多少爆裂が進行しつつあるだけで、修繕すれば十分直せる範囲である。家の中を後日みせてもらったが、安普請のつくりはいたしかたないが、古びた畳を新品に変えれば、そのまま居住できる。
14戸のうち6戸が空き家で2戸が社宅、3戸が借家、2戸使用が持ち家の1世帯、2戸が持ち家2世帯だが、なぜか空き家が簡単に埋まらない。安い理由を仲介業者に尋ねると、「修繕費の貯金が殆ど無く、管理組合がないのだから大規模修繕の計画が立てられないことが嫌われる」とのこと。分譲主の一族が戸当り3000円を集めて管理していることから、自主管理には当たらない。区分所有建物の組合抜きの管理者管理と言うのも変だ。
ところが、このマンションに隣接して1973年分譲のマンションがある。4階建て、35戸、46m2で300万円、修繕費+管理費の合計額が月3000円、ただし駐車料金は平置きで5250円、エレベーターなしだ。ほぼ1戸に1台の駐車場があるから、月々の戸当たり収入は滞納さえなければ、8250円となる。修繕も行けそうだと思いきや、最近受水槽を取り替えたら、貯金が無くなったらしい。ベランダの鉄部は錆びだらけで、コンクリートの亀裂も少々気になるが、金が無いのは外観から想像がつく。前述のマンションと似たようなロケーションで高崎の市街地を一望できる。居住世帯の半分以上が借家だ。空き家もある。

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当該中古の仲介業者の話では自主管理とは言え、特定者依存管理で役員会はないそうだ。要するに理事長が一人で理事がいないのだから、名ばかり管理組合だ。1年半で22回お客を案内したが、皆さん不安がって買わないとのこと。業者にとっては迷惑依頼物件と思いきや、この物件を見せるとお客さんは700万円程度の物件に気持ちを切り替えるから、儲けさして貰っています。要するに仲介取引のいいダシだ。老朽・不良マンションの社会貢献とも言えそうだが、総会も無い、会計報告もないマンションは将来、どんな味のいいダシになるか気がかりだ。社会教育用教材、観光資源にしたくなければ、持ち主は是非頑張るべきだ。     (つづく)

(2008年9月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)