その他管理業務全般

事例
住宅の意識調査・実態調査

 近年、公的機関による住宅の意識調査や実態調査が盛んに行われてきています。調査テーマや内容によっては、管理組合及び個人のマンションライフにとって参考になる内容が多いので、各調査結果をシリーズでお届けします。
 今回は、住宅金融公庫調査の「新築後4〜8年の分譲マンションの実態調査」から。

新築後4〜8年の分譲マンションの実態調査

 新築後、日の浅いマンションでは、管理組合役員がフレッシュでやる気充分の反面、理事会体制等がまだ定着していないなど、「やる事が山積み」の状況が続きます。
 日の浅いマンションでの参考に、住宅金融公庫が昨年12月にまとめた新築後4年から8年マンションの管理費等の実態調査結果(抜粋)をシリーズでお届けします。

〔調査の概要〕
 公庫の「優良分譲住宅」として分譲された新築後4年〜8年マンションの維持管理実態調査。
調査実施機関=住宅金融公庫
調査実施時期=平成14年12月
調査対象件数(管理組合数)=全国567件
調査方法=管理組合理事長へ郵送によるアンケート調査
主な調査項目=管理費・修繕積立金について、長期修繕計画について、大規模修繕計画の実施について等。


1 管理費

A. 一戸当たり管理費用(月額)
 平均的な管理費は10,000円前後となっている(全体の平均金額は11,612円)。管理には規模にかかわらず固定的な費用がかかるため、小規模なマンションの方が単価が高くなる傾向にあり、29戸以下のマンションでは、10,000円〜12,500円の割合がもっとも高く、101戸以上のマンションでは5,000円〜7,500円の割合がもっとも高くなっている。

管理費用29戸以下


管理費用30-50戸


管理費用51-100戸


管理費用101戸以上


B. 管理費の定め方
 管理費の定め方としては、大きくわけて住戸の専有面積に応じて定める方法と均一額に設定する方法が考えられるが、前者が大半を占めていることがわかる。

管理費定め方



2 修繕積立金

A. 一戸当たり修繕積立金(毎月の納入額と駐車場使用料繰入額の合計:月額)
 修繕積立金は、管理費に比べてマンション毎にかなりばらつきがみられる。14,000円を超える物件が14.5%ある一方、3,000円に満たない物件が5.8%あることがわかる。


積立金全体


B. 一戸当たり修繕積立金(公庫基準)
 一戸当たりの修繕積立金を公庫の基準でみた場合、維持管理導入前では6,000円未満の物件が22.1%あったが、維持管理基準の導入によってこのような物件を6,000円以上に引き上げたと考えられる。

積立金公庫基準



C. 規模別の一戸当たり修繕積立金(毎月の納入額と駐車場使用繰入額の合計:月額)
 修繕積立金を戸数規模別にみると、管理費と同様、29戸以下の小規模マンションでは金額が高めになっている。なお、全体の平均金額は10,660円となっている。

規模別積立金



D. 修繕積立金の定め方
 修繕積立金に関しても、管理費と同様、住戸の専有面積に応じて定める方法を採用して いる管理組合が多くなっている。

積立金定め方



E. 修繕積立金の平方m当たり単価
 修繕積立金の平方m当たり単価は、40円/平方m〜90円/平方m付近が多くなっている。各単価規模別にマンションの平均戸数をみると、かなり振れは大きいものの、概ね戸数が小さいほど単価が高くなる(折れ線が右下がりになる)傾向がみられる。

広さ当たり単価


戸当たり単価



F. 修繕積立金
 アンケート結果では、修繕積立基金は、全体の68.4%のマンションで徴収されており、基金の徴収は一般化しているといえる。基金の額が高いマンションでは、当面の月額の修繕積立金が比較的低く抑えられいる傾向にある。修繕積立金が著しく低く設定されている場合、将来の修繕積立金の値上げが急激なものにならないかが懸念される。


G. 修繕積立金の値上げ方法・時期
 修繕積立金は築後年数の経過とともに増額するのが一般的であるが、値上げの方法としては、数年経過ごとに段階的に値上げする方法が半数を占めていることがわかる。

値上げ方法


H. 修繕積立金の見直し状況
 今回のアンケートでは主に築後年数が4〜8年程度経過したマンションが対象になっているが、すでに修繕積立金を増額した管理組合が5割以上、変更がない管理組合が約4割となっている。

見直し


I. 修繕積立金を増額した時期
 修繕積立金の増額は、新築後3〜6年経過後に実施されている管理組合が多くなっており、見直しの標準的な時期と考えられる。

時期


J. 修繕積立金の増額理由
 修繕積立金を実際に増額した理由としては、「当初の計画から予定していた値上げである」(19.3%)よりも「長期修繕計画とのバランスがとれていなかったから」をあげる割合が68.7%と多くなっている。
 「当初の計画から予定していた値上げである」と回答した管理組合の平均増額幅に比べて、「長期修繕計画とのバランスがとれていなかったから」と回答した管理組合の平均増額幅の方が高くなっている傾向がみられ、計画的に段階的な値上げを実施していくには、早期に長期修繕計画との整合性をとっておくことが重要であることを示唆している。

理由



3 長期修繕計画

A. 長期修繕計画の作成状況
 長期修繕計画を作成しているマンションは、「新築時に作成」「新築時以外に作成」をあわせて83・2%ある一方、作成していないマンションは15・7%あり、この中には役員交替時の引き継ぎ等がうまくいっていないケースがあることも考えられる。


作成状況


B. 長期修繕計画の作成時期
 新築時以外の長期修繕計画作成時期は、新築時経過年数では2〜7年程度までかなりば らつきがあり、必ずしも一定期間経過後に作成されているわけではないようである。


作成時期


C. 長期修繕計画の作成期間
 長期修繕計画の計画期間の平均は、23・4年となっている。20年未満では実施時期が到来しない工事もあるため、将来にわたっての修繕費用を見通すためには、計画期間は最低20年以上は必要であるものの、20年未満の物件も約1割あることがわかる。


作成期間



4.大規模修繕工事

(1)築後4〜8年マンションにおける大規模修繕工事の内容
 以下の通り、共用部分の鉄部塗装を実施したマンションが大多数となっており機械式駐 車場がある場合はその塗装工事、続いて外壁補修や屋上防水工事が多く実施されているこ とがわかる。

〔複数の回答があった工事〕

  • 鉄部塗装工事71件
  • (機械式)駐車場塗装工事10件
  • 外壁補修9件
  • 屋上防水工事7件
  • 配水管清掃3件
  • 機械式、立体駐車場補修3件
  • 水道メーター取替え3件
  • 給水ポンプ交換2件
  • 床等補修2件
  • ベランダ手摺り等補修2件
  • 防水工事2件

〔その他の工事〕
 駐車場舗装補修、斜面土手補修、免震装置点検、庇部塗膜防水工事、地下駐車場天井ス ラブ補修工事、駐輪場修繕工事、受水槽工事、貯水槽工事、ガス感知器交換、地震に伴う 接合部金具の取替え、給水管の腐食防止工事、非常階段塗装工事、廊下・バルコニー修繕 工事、車椅子用スロープ設置工事、配電盤点検、非常照明バッテリー交換、エントランス ドア交換

(2)大規模修繕工事を実施したきっかけ
 前表の工事内容からみてもわかるとおり、長期修繕計画に基づいて鉄部塗装などの1回 目の大規模修繕を実施したマンションが多い。一方で、緊急に実施する必要があった、と するケースも14・1%あり、築後年数の経過によって、そのようなケースは増えていく可 能性があることから、適正な修繕費用の積立が不可欠である点を周知していく必要がある 。

図:工事を実施したきっかけ


(3)次回の大規模修繕工事(複数回数)
 次回の大規模修繕工事の予定は、実施する周期の短い鉄部塗装工事、外壁塗装工事、屋 上防水工事の割合が高くなっている。
図:次回の大規模修繕工事


(4)工事の資金手当て
 今回のアンケート調査では、次回の大規模修繕工事が一回目となるマンションが多いと思われるが、1回目の修繕工事については概ね修繕積立金で賄えているようであり、借入れを前提とした計画をしているマンションはわずかとなっている。もっとも、検討中や無回答の管理組合が全体の約4割あり、これらのマンションのうち、修繕積立金のみで賄うことが難しいために、資金繰り等を検討しているケースがあることも考えられる。
図:工事の資金手当


(おわり)
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