過去事例(給水管)

1.建物概要

 「N住宅」は、京急富岡駅から海に向かって徒歩圏内に位置する金沢シーサイドタウン地区にあり、また新交通システムのシーサイドラインの並木中央駅からもアクセスが出来る利便性・環境に優れた位置に立地しています。竣工は昭和57年、建物は鉄筋コンクリート造で、様々な住棟タイプ(5階建、3階建、3階建メゾネット、2階建タウンハウス)がある全26棟、計246戸の旧住宅・都市整備公団(現・都市再生機構)分譲の団地型マンションです。


2.管理組合の取り組み

 管理組合は、築30年目にあたる今から5年前の平成24年7月に、住戸内の給水管・給湯管からの漏水事故が増えてきたこと及び、以前の給水管ライニング改修から12年が経過していたことから、劣化状況を把握するために住戸内の給水管・給湯管の内視鏡調査を実施しました。また合わせて排水管の調査も実施しました。調査結果は、給水管と給湯管は2年以内での改修を推奨、排水管の鋼管部分は2〜4年以内の改修を推奨するという結果でした。
 その報告を受けて管理組合で検討した結果、住戸内の給水管・給湯管・排水管の改修工事を検討する時期に達していると判断して、平成25年9月から改修の方針や範囲を決める基本計画検討作業を始めました。
 基本計画では、予防保全の観点及びまとめて行うことによるメリットから、給水管・給湯管・排水管を同時に(一回で)改修することとし、工事方法は腐食しない樹脂管に取り替えることに決定しました。また、2階建タウンハウスは一戸建のように独立した構造となっているため工事の対象外としました。



  外観


 その基本方針を平成26年5月の通常総会で承認を受けた上で、平成26年9月から設計作業を始め、配管のルートや内装解体・復旧の範囲・内容などの詳細を検討して工事内容を確定し、平成27年11月の臨時総会で工事内容の承認を得ました。その後、平成27年12月〜平成28年3月までの4ヶ月間で業者選定作業を行い、平成28年4月の臨時総会にて工事実施の承認を得ました。
 この間、管理組合では、区分所有者の理解を得るために、複数回説明会を実施しました。平成25年10月に調査結果の説明会(1回目)、平成26年3月に基本計画の説明会(2回目)、平成27年10月に工事内容の説明会(3回目)と計3回説明会を実施し、工事の必要性、工事内容、工事における注意点、協力して頂きたい内容などを説明しました。
 これらの説明会は、区分所有者の関心も高く、多くの方に出席頂きました。住戸内の設備改修工事は、在宅期間も長く、また住戸内の内装に手を付ける工事であるので、今回のように複数回説明会を行って準備を進めた事が、工事のより良い結果につながったと思っています。

                      

3.工事の実施

 工事は平成28年6月〜平成29年3月中旬の約9ヶ月半の全体工期で行われました。まず、6月から約1ヶ月半で事前全戸調査を行い、その後約1ヶ月半の準備期間を経て、9月中旬から住戸内の改修をスタートしました。住戸内の改修は2チームで行い、1系統当たり7〜9日間の工事で進め、2月中旬に全ての系統の工事が完了し、予定通り3月中旬に竣工しました。



  新設配管(3階建メゾネット)

  新設配管(5階建)


4.最後に

 今回の工事で住戸内の給排水・給湯管を腐食しない樹脂管に取り替えたことで、居住者がより安心できる住環境となりました。各住戸の連続7〜9日間の在宅や設備機器の使用制限、工事の騒音が発生する大がかりな工事でしたが、理事会・委員会の方々が、計画段階から工事完了までの様々な課題に対応したことが、今回の工事が成功した要因であると思います。また居住者の皆様には工事へのご理解とご協力を賜り、感謝申し上げる次第です。



設計・監理=有減会社八生設計事務所
施工=建装工業株式会社


(2017年6月号掲載)