大規模修繕工事中使用出来ない期間のルーフバルコニーの使用料は払わないとAさんは主張しているが…(2009年5月号掲載)

私達のマンションでは今般大規模修繕工事を行うことになりました。最上階の501号室に居住しているAさんから「大規模修繕工事の最中にルーフバルコニーが使えなくなるから、その工事期間中は使用料は支払わない」と言われました。

規約上はルーフバルコニーは共用部分とされており、使用料を払うことで専用使用を認めています。Aさんの主張は正しいのでしょうか。

 

ルーフバルコニーの法的性格については、これを共用部分と考える立場と専有部分と考える立場の争いがあります。もちろん、共用部分であろうと、専有部分であろうと区分所有法の規定(例えば有害行為の禁止を定めている6条)や規約により一定の制約が可能であることは当然ですが、共用部分と考えると専有部分よりも広汎な制約が可能となる点でその法的性格をどのように考えるかで結論に影響を及ぼす可能性があります。

この点については、売買契約書にバルコニーを専有部分と表示されていた事案で契約書の記載を重視してバルコニーを専有部分と判断しが有力です(最高裁判所もこの立場であると考えられます)。

ルーフバルコニーが共用部分であるとすれば広汎な制約が可能となります。
また、前述したように共用部分であると考える大きな理由の一つがバルコニーが建物の躯体の一部である点です。躯体の一部である以上大規模修繕工事の対象となることは当然であり、居住者に認められている専用使用権も大規模修繕の際には一定の制約(=利用ができなくなる)が課せられることを前提として認められた権利に過ぎません。

ルーフバルコニーを前提に考えるとこの結論に違和感をもたれる読者の方がいるかもしれません。しかし、例えば、エレベーターは定期的な保守点検が欠かせませんが、エレベーターが保守点検のため一時的に使用できなくても、その分の管理費の返還や支払拒否が認められないことについては読者の方も異論はないと思います。

それは、共用部分の管理のために一時的に使用できない状況が生じることは不可避であることを皆さんが納得しているからだと思います。ルーフバルコニーもその本来的性格が共用部分であることはエレベーターとなんら変わりません。

Aさんに認められている「ルーフバルコニーの専用使用権」は、日常的には決められた用法に従ってルーフバルコニーを独占的に使用できるが、管理組合が大規模修繕等必要な工事を行う際には使用が制限されることを前提に認められ、使用料もそのことを前提に定められている権利であると考えられます。したがって、Aさんの主張には理由がありません。

回答者:法律相談会 専門相談員
弁護士・石川貴康
(2009年5月号掲載)