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専有部配管取替工事積立金の計画が必要(2018年4月号掲載)


 経年35年目のマンションで、3年後に排水管の取り替えを計画しています。共用排水管(立て管)は住戸内のパイプスペースに配管されているため、パイプスペース周囲の内装壁(専有部)を解体復旧する事が必要になります。その費用は共用排水管取替工事の一環として修繕積立金からの支出となりますが、共用排水管に接続されている専有排水管との接続部はどこまでが共用部扱いで取り替えるのでしょうか?
 又、共用部と一緒に専有部排水管も同時に取り替えた方がコストメリットはあると思いますが、専有部排水管の取り替えはどのように進めたら良いのでしょうか?



 共用排水管は、大半のマンションは住戸内のパイプスペースに配管されています。このためパイプスペース周囲の専有部である内壁の解体及び配管取替後の復旧が必要になります。この工事は共用排水管取替に伴い発生する工事なので修繕積立金からの支出となります。
 お問い合わせの専有排水管と共用排水管の接続部については、一般的に共用排水管に設けられている分岐継手(専有排水管との接続するための接続金物)及びそこから数十センチの専有排水管(分岐継手取替に伴い取り替えが必要なため)の取り替えまでを共用排水管取替工事の一環として行っています。よって、パイプスペース周囲の壁だけではなく専有排水管との接続のためにパイプスペース周囲数十センチの床(場合により天井も)の解体・復旧も必要になります。
 又、専有部排水管の取り替えは、共用排水管と同時に行った方がコスト的にも工期的にも有利ですが、その費用が用意されているかが課題です。管理規約を改定し修繕積立金から支出して専有部排水管を取り替える事は可能ですが、修繕積立金の余剰が充分ある事が必要です。専有部排水管取り替えは内装の床の解体・復旧を行うため、内装床材の解体・復旧が必要な専有給湯管や専有給水管・専有ガス管などの取り替えも同時に行う事が望まれます。それらを同時に行うと戸当たり100万円以上の費用が必要になります。
 修繕積立金から支出しての工事は難しいため、専有部の配管取替は専有者負担で、希望者のみが行う共用排水管取替工事のオプション工事扱いにする場合も見られます。この場合は、取替工事を希望しなかった住戸の配管は、この先漏水や排水不良の危険性がつきまといます。出来れば全戸一斉に専有部配管も取り替えたいものです。それには、修繕積立金とは別に専有部配管取替の費用が必要である事を区分所有者にアピールすると共に、共用部の修繕積立金とは別に、いずれ必要になる専有部配管取替工事の専有部工事積立金を管理組合主導で計画する事が望まれます。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2018年4月号掲載)