駐車場料金は駐車場の維持管理のための費用か?(2016年6月号掲載)

 大規模修繕の実施にあたり修繕積立金が工事費に対して不足するため、マンションの駐車場の使用料の繰越金を不足額に充てようと理事会で検討しています。ところが、一部の駐車場利用者から駐車場使用料のストックは駐車場維持管理のための資金なのだから、駐車場以外の建物の修繕である大規模修繕に流用するのは、筋違いである。駐車場を利用しない人に有利な運用であるという抗議がありました。駐車場使用料の余剰金を大規模修繕に流用することは出来ないものでしょうか?

 駐車場使用料は、駐車場の維持管理のための費用と全組合員が共有しているマンションの敷地を駐車場利用者が専用使用する土地専用使用料で構成されていると考えられます。

 このことから駐車場維持管理費用の余剰金を全組合員の為の大規模修繕工事に流用することは、筋違いではないと思います。但し、マンションの管理規約の「使用料」の規定に駐車場使用料の措置についてその旨を明記する事が必要です。マンション標準管理規約では「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分に係わる使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる」とされています。

 マンション管理組合によって、この規定は様々で、毎年定額を駐車場会計から修繕積立金会計に繰り入れる様にしていたり、駐車場使用料を施設賃貸料・施設維持管理費に仕訳し、施設賃貸料分を修繕積立金に繰り入れ、施設維持管理費分を駐車場の維持管理に充てたりしているところがあります。尚、機械式駐車場の場合は、その維持管理費が高額なため、駐車場使用料を駐車場の維持管理費だけで使い切り、土地の専用使用料を捻出することが困難な管理組合もあります。

前述の様な措置により、大型団地などでは駐車場使用料収入は管理組合の大きな財源になっています。一方、居住者の高齢化と共に駐車場の使用率が低下し、貴重な収入源が枯渇し、修繕積立金の値上げを迫られているケースも出て来ています。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2016年6月号掲載)