ペアガラスのサッシ アルミ枠に結露が…(2012年10月号掲載)

マンションのサッシを全戸ペアガラス入りのサッシに取り替え1年たちます。居住者にサッシ取り替え後の感想を聞くためアンケートを採ったところ、「結露がする」「ガラスの結露は減ったがアルミ枠の結露は前より酷くなった」という意見が1割以上ありました。

結露防止のためペアガラスにしたのに、このような意見が出て残念でなりません。何か、性能に問題があるのでしょうか?

ガラスは一般ガラスに比べ断熱性が高く、結露がしにくいガラスではあります。しかし、断熱性能にも限界があり、ペアガラスの熱の伝わりやすさは単板ガラスの1/2位になりますがゼロではありません。よって屋内と屋外との温度差が大きいとペアガラスでも室内面の温度が室温より低くなり、室内の湿度により結露が発生します


又、取り替え用アルミサッシの枠は断熱性は付加されていませんので、今まで通り結露します。又、サッシを取り替えると気密性が上がり、取り替え前より室内の湿度が上がる傾向にあり、よりサッシ枠の結露が増す事になります。

アルミサッシ枠ばかりではなく、北側の部屋の天井面や押入の中などの結露が増したり、今までなかったところに結露が発生し出す事もあります。

ペアガラスを採用する事による窓面からのエネルギーロスが減り冷暖房効率が上がるメリットを活かすには、適度の換気と暖房器具の設定温度を従来より下げるなどの室内環境コントロールを合わせて行う事が必要です。

その方法として、温湿度計を部屋に用意し、室温20度、湿度50%前後に保つように暖房器具の温度調整をしたり換気をすることや室内の空気が動くように使用していない部屋も時々開けたり、あまり部屋に荷物を多く置かない事などが挙げられます。

最近新築されたマンションでは、24時間換気システムが設置され、前記問題は少ないので、アルミサッシを取替時には、24時間換気システムを合わせて計画に盛り込む事も検討したいものです。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2012年10月号掲載)