第2回大規模修繕工事 給水方式を直結増圧方式に:2014年5月号掲載

 Aマンション(横浜市鶴見区、RC造地上5階、地下4階、1棟215戸、1988年竣工、築25年)は、平成25年9月から平成26年3月の工期で、第2回大規模修繕工事を実施した。設計・監理=株式会社三衛建築設計事務所、施工=株式会社カシワバラ・コーポレーション。

工事施工前の共用廊下

工事後の共用廊下(塩ビシート貼り替え)

露出配管となった給水管

 

大規模修繕工事の概要

 主な工事範囲及び内容は、外壁塗装工事(既存塗装部を超低汚染水性シリコン樹脂塗料にて塗り替え)、鉄部塗装工事(既存塗装部をアクリルウレタン樹脂塗料にて塗り替え)、防水工事(ルーフバルコニーにはウレタン塗膜防水を施し、共用廊下及び階段の床は、防滑性長尺塩ビシートで貼り替え)、そのほか、表札や外構の各種看板の更新や、階段に新しく手すりを設置した。

 また、本工事では給水管の更新に合わせ、給水方式を直結増圧方式に変更したことが特徴である。

 施工会社の選定に当たっては、大規模修繕工事と合わせ、直結増圧方式を施工可能な会社であることを条件に選定が行われ、その結果、(株)カシワバラ・コーポレーションが選ばれた。

費用対効果から給水方式を選択

 同マンションでは、管理を受託する管理会社が、本工事前に給水管の劣化状況を調査したところ、交換時期に来ているという結果が出ていた。そこで、給水管の更新と合わせ、給水方式についても検討を開始。その結果、直結増圧方式に変更することで、受水槽のメンテナンス費用が不要となり、管理コストの削減が見込めることから、管理組合では市の水道局とも協議の上、給水方式の変更を決定した。

 工事説明会では、設計上、露出配管とせざるを得ないことを説明すると、見た目を気にする居住者から不安の声も聞かれたが、管理組合の説明により最終的には納得してもらった。

 また、水を上階まで汲み上げるために設置する増圧ポンプは、24時間稼働するため、増圧ポンプ設置予定箇所近くの居住者から、深夜の騒音や振動を心配する声があがっていた。

 そこで管理組合では、実際に増圧ポンプが設置されている他のマンションで、騒音や振動の心配が無いことを当該居住者に納得してもらったうえで、工事を施工した。

 「増圧ポンプを設置しても、騒音や振動は無い」という説明だけで済ませず、管理組合が、居住者の不安に真摯に対応したことが工事がスムーズに進んだ要因でもあった。

 なお、増圧ポンプ周辺の居住者から、騒音や振動のクレームは寄せられていないという。

受水槽撤去後

「設計・監理=㈱三衛建築設計事務所、施工=㈱カシワバラ・コーポレーション」

(2014年5月号掲載)