入居42年目に給水管更新工事 工事に伴い洗濯機専用給水栓並びに洗濯機防水パンを設置(その3):2011年10月号掲載

H住宅給水管改修工事(千葉県千葉市)(その3)

給水管更新工事に伴う洗濯機専用給水栓の設置並びに排水管更新に伴う洗濯機防水パンの設置事例

 前号、前々号と連続でH住宅管理組合が実施した“給水管更新工事”に関する「工事事例」を記載しましたが、今回は同工事に際して関連工事として全戸対象に実施した“洗濯機専用給水栓の新設”とオプション工事として対応した“排水竪管更新工事”と“洗濯機排水新設”について「工事事例・その3」として記載します。

1.洗濯機専用給水栓の新設

 今回の給水管更新工事に伴い、本工事として全戸に洗濯機専用の給水栓を新設しました。新築時より洗濯機置場には水栓が設置されておらず、洗面台よりホースにて給水する方法が一般的でした。洗濯機専用給水栓の新設により、給水に関しては漏水発生の危険を最大限軽減する事が出来ました。

2.洗濯機排水設備の新設

 前述同様に、新築時より洗濯機用の排水設備は設置されておらず、ホースにて浴室内に排水する方法が一般的でした。これに起因する漏水が度々発生していました。

 洗濯機用排水は専有部設備であるため、管理組合では以前より広報等で洗濯機排水設備の設置を啓蒙すると共に、管理組合建築協定による「模様替願」提出と材料・施工要領等の仕様指定により専有部設備工事の均一化を図ってきました。更に、後述する“雑排水竪管更新工事”に於いては、竪管更新時に洗濯機排水分岐継手を設置しておく仕様としています。

 今回の“給水管更新工事”に於いても洗濯機排水設備の新設を“オプション工事”として対応しました。洗濯機排水設置に関して、以前は洗濯機排水を共用雑排水竪管に接続する場合は従来の分岐継手を使用するために、継手の形状に合わせて洗面所床を嵩上げする必要がありました。現在は“洗濯機排水分岐継手”が開発されて、既存の床を嵩上げせずに排水管設置が可能となりました。

 但し、洗面所床下には給水管・ガス管が敷設されているので、排水勾配を確保する為に根太組の組替えやループ配管等が必要となります。この度の様に住戸内給水管を露出工法にて更新した場合には、床内の給水管を撤去出来るため、比較的容易に洗濯機排水配管が施工出来ます。又、洗濯機防水パンの設置に当っては、全自動用パンは出幅が広く歩行に支障が出る場合には、洗濯機置場奥の物入れ間仕切を奥に移動して前面の歩行スペースを確保する事も出来ます。

3.共用排水竪管の更新

 H住宅管理組合では規約で「共用排水竪管」は階段単位の共用部分と規定していますので、今回の給水管更新工事に於いて“オプション工事”として「浴室洗面系雑排水竪管・汚水排水竪管」の更新にも対応しました。但し、ベランダ設置の「台所系排水竪管」に関しては1階床下横引き管も含めて、入居38年目の第3回大規模修繕工事実施迄に全棟更新を完了しています。

 今回工事に於いては、棟単位で「浴室洗面系雑排水竪管・汚水排水竪管」の更新をしました。

 この“共用排水竪管の更新”の内でもトイレ内露出配管の「汚水排水竪管」の更新は入居35年目頃から始まり、現在約50%ほど更新が進んでいます。継手部等のパッキングの劣化による漏水・錆汁の発生やトイレ使用時の跳ね返りによる竪管の外部腐食進行に起因するピンホールの発生が汚水竪管更新の主な原因となっています。

 浴室洗面系の雑排水竪管の更新は現在のところは希少です。継手部よりの錆汁の発生や浴室排水枝管の腐食による漏水発生等により今後は更新が進むものと考えられます。この「浴室洗面系雑排水竪管・汚水排水竪管」の更新についても、管理組合では更新仕様を定めて施設の改善と均一化を図っています。

 汚水竪管の更仕様は排水用ラセン塩ビライニング鋼管80A・ADスリム継手R88UNとしています。雑排水竪管の更新仕様は現行鋼管65Aを、洗濯機排水の接続を見込んで排水用塩ビライニング鋼管80Aとし、さらに洗濯機排水分岐継手の全戸分取付とすると共に、階段共用部の一部である浴室排水枝管の更新も現行鋼管50Aを厚肉塩ビ管50Aに指定して同時更新としています。

 又、浴室排水枝管の更新に際しては浴室排水金具も同時更新としています。但し、花見川住宅管理組合では浴室防水層まで躯体とともに共用部としている為、防水層に絡む浴室排水金具の更新費用は防水層補修と床仕上げの復旧費用を含めて組合負担としています。又、浴室排水金具・防水層補修・仕上げ材の復旧等の仕様も定めています。なお、浴室排水金具と浴室排水枝管については、排水竪管の更新とは別に単独での更新が相当件数発生しています。その原因は長期空家による排水トラップ内の封水の蒸発によるトラップ内部腐及び排水枝管継手ネジ切り部の腐食による漏水の発生によるものです。長期空家になっていた住戸の再入居時には、浴室排水施設の劣化状況の確認が必要となります。

 共用部排水竪管については、新築後40年以上使用するのであれば最低1回の更新が必要となりますので、1階床下横引き管と棟裏側第1桝までの埋設部を含めて、更新計画を策定しておく必要が有ります。
(設計・監理=一級建築士事務所・秋設計、施工=6街区担当/建装工業株式会社、7街区担当/京浜管鉄工業株式会社)※詳細本紙HP参照
<アメニティ新聞349号 2011年10月掲載記事>