26.リビルディング・ロード①

「マンションの肖像~これまでの30年、これからの30年~」

 

さらに、「建替え制度」は進展を見せる。2002年(平14)区分所有法の改正がなされた。特に注目されたのは、法61条、62条以下ではなかろうか。62条における過分性要件(客観的要件)は撤廃され、多数決のみで建替えが可能になったと報道は捲し立てた。要は、客観的要件を細分化し手続き的要件の中に組み込んだのだが、過分性なる言葉は削除された。同法改正に併せた研究会、会議等の議事録を読んでいると、委員によっては「可分性」と読み、混乱は制度を作る側にも生じていたことが伺える。

 

さて、マンション建替えそのものは、いかなる進展を見せたのであろう。さぞ、隆盛を極めたか。確かに、「全員一致」、「第一種市街地再開発事業」としての建替え手法時より若干は増える傾向を示した。緩やかな増加傾向を示しはしたが、逓減するというよりは先細りの傾向に陥る。

 

制度改正にあたっては、曖昧模糊とした過分性要件の具体化、コンセンサスの緩和等が議論されたが、前者については、進展を見ることができた。また、法69条、70条の新設は、建替えのターゲットとしてはやはり、住宅団地が対象であることを裏付けた。

 

そして、そこで明らかになってきた事としては、住宅団地の区分所有という法の立て付けが、住棟毎の区分所有が基本ベースで、その総体が全体である事を、改めて確認できた事ではなかったか。全体の管理組合があって、下部に棟毎の組合があるのではない。あくまで立て付け上は。83年(昭58)区分所有法施行の際、住宅団地においては、ある意味で盛んにこの点が議論されたとの印象がある(当シリーズでも既に取り上げた)が、全体(統一)管理といった名称のもと、いつか同法第二章との関連性が希薄化した様にも思われてならない(もちろん準用が限られている)。

 

東洋一のアパートメントも今、建替え後初の大規模修繕を迎える。(江戸川アパート)

 

話を建替え制度に戻そう。実はこの時、法62、69、70条が改正、新設されただけでは留まらなかった。同時にというわけではないが、「マンション建替え等円滑化法」(以下:円滑化法)といった行政法までセットされるに至り、マンション管理は、その究極に建替えを設定し、特化するよう道筋、仕組みを整えたと受け止められる。こんな風に考えるのは筆者だけだろうか。

 

円滑化法は、建替えに参加する区分所有者の団体に法人格(当該自治体による許認可)を与え、権利の調整等につき担保する。区分所有者の団体からすれば、区分所有法に基づく建替え実現までの軌道であれ、円滑化法であれ取捨選択できるというわけだ。ここまで建替えの道程を整備したものの、数値はさほど伸びない。コンセンサスの緩和こそ重要だとの声も聞こえてこないわけではないが、読者諸氏はどのようにお考えだろう。

 

筆者としては、建替えを推進するかどうかを決めるのは、そこに居住する区分所有者であると思う。決してディベ等を含む第三者ではない。
宇田川住宅団地シンドロームを現実化できるパイが余り残っていないと察する。(つづく)

明治学院大学法学部兼任講師・本紙客員編集委員
竹田 智志
2020年6月号掲載