災害関連死ゼロの社会を目指す(5)

飲むこと・食べることの大切さ

 

 前回はトイレ対策の重要性についてお伝えしました。特にトイレの回数を減らしたいと思うために、食事や水分を取る量を減らす。その結果、脱水状態の発生やエコノミークラス症候群の発症を招くことで「災害関連死の発生」につながっていきます。すなわち、在宅避難生活の健康管理では、体の中から「出すこと」だけでなく、「取り入れること」にも配慮した考え方がとても大切です。

 

災害時の食事のとり方のポイントとは?

 

 災害時に食事を取る際に大切なのは「温かいものをよく噛んで食べるようにする」ことです。人間の体は食べたものを消化し、栄養として取り入れたうえでエネルギーに変えることで活動ができるようになっています。これを代謝と言いますが、冷たいものを食べすぎた場合には内臓の働きが低下し代謝機能が下がってしまうため、消化などが妨げられます。そのため体温が低下してしまい、免疫力が下がることで、風邪などの感染症にかかる原因につながっていくのです。
 また食事をきちんと取っていくことは脱水状態の発生を防ぐためにも大切な一面があります。実は食事の中には多くの水分が含まれており、一日に必要な水分量の半分近くは日々の食事の中で取られています。しかしながら、災害発生時に食事の回数が減らされていくと、その分だけ食事の中で取られていた水分が摂取できない事態になります。足りなくなった水分を、例えば500ミリリットルのペットボトルの水を直接飲む形で補うことは果たして可能でしょうか。想像するだけでも難しいことが分かると共に、食事の大切さがよく分かると思います。

 

在宅避難生活での食事の作り方について

 

 在宅避難生活では自宅で食事を作る必要が出てきます。そのために自宅で災害発生後しばらくの間、物資の配給を受けなくても生活できるように、一定量の食材や生活必需品を常に持っておくことが重要です。これを日常生活の中で備蓄を回す方法として「ローリングストック(回転備蓄)」と一般的に呼ばれています。
 ローリングストックで備蓄される食材を使って災害時に温かいものを調理する方法として「パッククッキング」があります。これは耐熱性のポリ袋に食材を入れて空気を良く抜き、湯煎をする形で食材を温める調理法です。ライフラインが途絶し、電気やガスが使えない。また使える水の量が限られる時でも、衛生的に調理ができ、また栄養バランスに配慮して様々な食材をまとめて調理できるため、災害時に使える優れた調理法の一つです。加えて、時間がないときの「時短クッキング」として日常生活の調理法にも取り入れることができます。「災害時の食事 = 乾パン」だけが選択肢ではないのです。

 

・一般社団法人地域防災支援協会
 http://www.boushikyo.jp
・一般社団法人日本環境保健機構
 http://jeho.or.jp

 

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