災害関連死ゼロの社会を目指す(3)

在宅避難生活と耐震基準の関係

 

災害発生後も集合住宅内に留まって生活し続ける「在宅避難生活」では、前提としてその建物内に住み続けられる構造面での信頼性が大切です。一つの目安とされるのは、1981年の建築基準法改正を境目に、それ以降に建築確認申請が行われた新耐震基準の建物かどうかです。注意すべきは新耐震基準の建物は被害が出ないわけでは無く、中に住む住民の命を守れるよう倒壊しないような設計基準になっている点です。そのため、新耐震基準の建物だから必ず在宅避難生活ができるわけでは無いことには留意しなければなりません。ここから先は災害発生後、住まいの建物に構造上住み続けられる状況を前提にお話しします。

 

災害発生後まず行うこと

 

災害発生後、一般的にまず行われることは被害状況を確認することです。集合住宅においても同様で、例えば地震発生後では、建物の外観等の確認による構造上の被害状況を把握すると共に、中に住む住民が無事であるかどうかの安否確認を行う必要がありますが、昨年(2018年)6月に発生した大阪府北部地震は、安否確認において大きな教訓を残しています。この地震では二人の方が災害関連死として認定されていますが、そのうちの一方は書籍等の落下による圧死とみられ、地震発生後2週間を経過してから発見をされています。なぜこの方は直後に発見されなかったのでしょうか。

 

集合住宅で安否確認が大切な理由とは?

 

下は大阪府北部地震の発生から5日後の現地の写真です。ほとんどの建物は外観から確認するだけでは被害があるようには見えません。ところが被災地域の方に伺うと「家具が倒れたり、食器が割れたりして片づけが大変」といったように、建物自体に被害が無かった場合でも、家財による被害が発生していることが分かりました。すなわち『新耐震基準を中心に倒壊しない建物であっても、それぞれの室内では何が起きているかは分からない。』それが集合住宅において安否確認が必要とされる理由の本質なのです。 (集合住宅管理新聞「アメニティ」2019年2月号掲載)

 

 

一般社団法人地域防災支援協会
http://www.boushikyo.jp/

一般社団法人日本環境保健機構
http://jeho.or.jp

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