マンション再生ーその5

-マンション再生-その計画と実施 5
 前号では修繕工事の実施時期・方法による分類として、経常修繕と計画修繕について解説した。計画修繕では短期・中期・長期的なものがあり、これらを一定期間(20年以上)まとめて策定したものが、長期修繕計画となる。
 「表-2」は計画修繕項目と修繕周期の目安である。建物はさまざまな仕組みを持ち、立地条件や構成材料、また、建物経年により傷みの状態は異なり、耐久性にもかなり巾がある。更に、建設時の施工の良否、日常のメンテナンス「手入れ」の仕方によっても異なる。したがって、工事の実施前には当然「建物診断」で状況の確認が必要となる。

※計画修繕項目・周期は、マンションの仕組み(建物形態・構造、設備)によって異なる。したがって、本表の周期は大まかな目安であり(材質等によってもかなり耐久性に巾がある)、また、項目についても更に細分化されているものもある。
※計画修繕の中には足場架設等が必要なものもあり、また、建物等の耐久性・経済性から、同時に工事を行なっておくことが望ましいものがある。これらの計画修繕項目を☆印としている。

※立地条件、構成材料により特に周期に幅のあるもので、実施前に劣化状況等を調査・診断により、判断することが望まれるものを、★印としている

 これらの計画修繕とは別に、事故・災害による復旧・修繕工事が挙げられる。これを「事故修繕」と呼び「事後」の修繕で応急修理的なものも含まれるが、事故等の状況によっては管理費で賄えるものと、工事費に多額を要する場合には積立金よりの支出となる。

■ 修繕工事の内容による分類
 修繕という言葉の意味はかなり巾ひろく、一般的にはあまり限定されずに用いられているようである。しかし、前号でも述べたように、基本的には建設当初の水準にまで回復させることを目標とした修繕の行為と定義付けられる。また、この中には日常的に行われる修繕と、計画的に行う修繕がある。計画修繕は将来の建物・設備の経年劣化を予測したものであるため、内容のグレ-ドアップも検討しなければならない。すなわち、改良・改善の要素を加える必要がある。特に、高経年マンションでは、建物の各部位で既存性能を改善する改良修繕=「改修工事」が主体となってくる。これらの内容も計画修繕の一環であるが、従来の修繕工事より高額な費用を要するものがあり、「特別修繕」として位置づける場合もある。

● 環境整備
 環境整備という言葉もかなり巾ひろい。居住環境・生活環境という用語では、マンションの建物、屋外を含む全てが対象となるが、「表-1」に示した環境整備は屋外環境のみを対象としている。したがって、ここでは建物以外の広い屋外スペ-スを持つ団地型のマンションが該当する(1棟型のマンションでも屋外施設を持つが、団地型のものに比べ費用面の相対的比率は低い)。
 この項での対象は外構整備・植栽等となるが、植栽関係は、長期修繕計画の対象にせず、一般的には園芸費として日常管理で賄うものが多い。しかし、道路舗装・埋設配管などの整備と直接関係することから、また、外構整備(公園・遊戯施設等)とも密接な関係を持っている。したがって、ここでは屋外環境整備という内容で位置づけている。 修繕項目の具体的なものとしては駐車場・駐輪場・遊戯施設等の整備が中心となる。 増設・新設も対象となるが、これにはかなりの費用を要する場合もあり、特別会計として収支のバランスを計ったものとしておく必要がある。特に、機械式駐車場のメンテナンスでは経年劣化により高額な費用を要しており、修繕計画とそのための費用は、他の会計と区分した「独立会計」としておくことが望まれる。

-マンション再生-その計画と実施 6
 本シリ-ズ第3回目の「表.維持・保全の内容と分類」の最後の項目に、増築・建替えを設けている。これらについては維持保全とは本来次元の異なるものであるが、マンション再生(特に、建物の生活空間の改善)という視点よりみれば、これらも「再生」の範疇と考えられる。また、近年マンションへのコンバ-ジョン(用途変更)の事例もみられる。したがって、今回より増築・建替え・コンバ-ジョン等について、その具体手法は別として過去の状況や問題点について、事例を含め考えてみたい。

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