マンション再生ーその4

-マンション再生-その計画と実施 4
マンションの維持・保全
『修繕工事』

 前号では表[維持・保全の内容と分類]のA.日常保守・点検の項を解説した。今回はB.修繕工事の内容について解説する。「修繕」という用語は一般的に以下の内容で定義されている。

● 修繕
建物各部の劣化、性能・機能の低下が進んだ場合には、修繕を行うことになる。修繕は、部材や設備の劣化部の修理・取替えを行い、劣化したその部分の性能・機能を実用上支障のない状態まで回復させることで、一般的には、建物の建設当初の水準にまで回復させることが基本的な目標となる。
 修繕工事は大きく三つに分類される。一つは修繕の規模(大・中・小)による分類、次に実施時期・方法(事後[経常]・予防[計画])による分類、更に修繕工事の内容(修繕・改良)による分類である。これらの分類は全く別個のものではない。一つの修繕工事を、その内容によりこのように分類しているもので、これらを混同していることが往々にしてあるので、整理したものである。

■ 規模による分類

 一般的によく用いられる用語に「大規模修繕工事」というものがある。大・中規模の内容についての定義はないようであるが、どの程度の規模のものを指すかは、マンションの戸数規模、修繕積立金の予算規模とも関連する。大規模修繕という用語を定義するならば、修繕工事の中で最も時間と費用を要するものであり、建物の外壁工事や屋根防水工事、給排水設備の配管更新等がその代表的なものとなる。とくに、外壁等の工事では、単に外壁廻りのみでなく関連する工事(バルコニ-・廊下・階段床防水、鉄部塗装等)も同時に行われるため工事期間は長く、工事費用も大きい。また、日常生活を営みながらであるため、居住者への影響も大きい。これらの要因が大規模修繕と呼ばれ、マンションにとって重要な工事として位置付けられる所以である。管理組合の中には、これらを「特別修繕」として、他の工事と別扱いにしているものもある。更に、長期修繕計画としてこれのみを取り上げているものもあるが、大規模修繕工事も計画修繕の一環であり、他の修繕対象項目とどのように関連させるかが、長期修繕工事のポイントともなっている。

外壁の大規模修繕工事
外壁・屋根廻りの躯体改修

■ 実施時期・方法による分類

修繕には、劣化・機能低下等の発生の都度に行う経常修繕と、一定の周期(経過年)ごとに計画的に行う計画修繕がある。これらは以下の内容で定義される。

1 経常修繕(日常修繕、小口修繕と呼ぶ場合もある。)
 日常的に生ずる汚損・破損した部分(部材・部品)について、その都度部分的に行う修繕等で、一般的に小規模、比較的費用の少ない範囲で修繕ないしは取替えを行うもの。
・事例:共用部分の不具合箇所、事故等による緊急を要する修繕、雨漏り等の部分修繕が挙げられる。また、設備関係では照明器具の部分交換、給水設備等の機器の故障、部品交換等も小規模な場合は経常修繕で行われるが、これらは年間の管理費の経常修繕費(または営繕費)の予算規模によっても異なり、小規模のマンションでは修繕積立金で支出する場合もある。

2 計画修繕:
 建物の維持保全は、経常修繕の積み重ねだけでは不十分で、建物全体で一斉に行う修繕が必要となる。したがって、部材等の耐用を考慮しある一定の修繕周期をもとに、具体的な損耗・劣化状況を確認の上、計画的に修繕を行うもの。当然、改良も同時に考慮することになる。計画修繕を長期にわたり作成したものが長期修繕計画となり、そのための費用を準備しておくことが必要で、これが修繕積立金となる。
 計画修繕は、建物を構成する部位(建物・設備の仕組み)・部材により、短期間(4~6年)周期で繰り返し行われるものと、長期間(20~30年に1回あるもの)周期のものがあり、その中間に中期間(10~15年)のものが設定される。しかし、計画修繕はあくまで予防修繕的なものであり、経年による劣化状況を定期的に観察していく必要があり、工事の実施はこの検証によって決められる。

庇上げ裏面の鉄筋露出現象
躯体改修工事中のもの

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