58.食べずに死ねない? 「臓物」のイタリア

 オリーヴオイルから、話は少しそれますが、今号も“臓物ばなし”にお付き合い下さい。
ローマがトリッパなら、芸術の都フィレンツェは「ランプレドット」そして、見ずして死ねないナポリに行ったら「トリッペリア(臓物屋さん)」を訪ねてみてください。きっとイタリアの臓物文化を堪能できること請け合いです。

◆芸術もかすむ?至福のランプレドット◆

 街全体が美術館と称されるルネッサンス発祥の地フィレンツェ。そんな形容も食の前には無力と言えるかもしれません。勿論、最先端を走るイタリア料理も素晴らしいのですが、古くから庶民の胃袋を満たしてきた郷土料理の底力は侮れません。そのフィレンツェでダントツに支持されるのがランプレドット。当世風に言うならB級グルメのファストフード。
牛の第4の胃袋(ギアラ)を玉ねぎ、セロリ、人参などの香味野菜と柔らかくなるまで煮込み、味付けはシンプルに塩、胡椒のみ。煮込んだ胃袋を細かく切り、バジルソースに似たサルサヴェルデと呼ばれる緑のソースをかけて食します。バスケッタと呼ばれる皿盛りと、パニーノにはさんでバーガー風にと、食べ方はふた通り。基本ば屋台料理、しかしこれが超絶品!おかわり必須の美味しさです。

◆トリッペリアは臓物のショーケース◆

 ピッツァが代名詞のような南国ナポリ。下町を散策すると、冷水が滴るショウウインドゥを見かけます。冷水をかぶるのは様々な部位の臓物たち。南国ナポリの臓物の食べ方は至ってシンプル、アクや臭いを徹底的に洗い落とし、じっくり茹で上げた胃袋たちの、好みの部位を好みの量カットしてもらい、それを細かく刻んで、たっぷりのレモンを絞りかけるだけ。好みで加えるなら塩のみ。そうそう、オリーヴオイルも悪くありませんよ。イタリアではお店の業容を表すのに末尾に“~リア”をよく使います。トラットリア(軽食堂)、ペスケリア(魚屋)、マチェレッリア(肉屋)のように、だからトリッパを代表選手にした「臓物屋」という訳です。(M)

刻んだトリッパ

ナポリの「臓物屋」さん

        

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