55.~オーガニックを極める~その三『良いのになぜ?伸びないオーガニック』

久しぶりに良いニュースが入ってきました。IОC(国際オリーブ協会)が報じたところによると、2017/2018収穫年におけるオリーヴオイルの世界全体の生産量が、331万5千トンと、近年まれにみる数字を記録したとのことです。最大生産量を誇るスペインでこそ前年を少し割り込んだものの、ほかの国では軒並み前年を上回る結果となりました。

◆EXVと有機、その微妙な関係◆

世界で生産されているすべてのオリーヴオイルの中にあって、このシリーズが推奨するEXV・エキストラバージンの占める割合は、全生産量の約20%と言われます。裏を返せば80%は、生食を勧めたくないごく普通のカテゴリーに属するオリーヴオイルということなのです。そこで注意すべきは、その20%のうちでオーガニックの占める割合です。健康と安心、安全が最大のセールスポイントともいうべき有機の農産物。前月に触れたように、有機の大国イタリアでさえ、全耕地面積に有機農産物の占める割合が8%という事実を考えれば、オーガニックはまだまだ少数派と言わざるを得ません。

◆かかる手間ひま、コストが上昇◆

安全、安心というハードルを維持し、品質を保つため、有機農法は土地、モノ、そして時間、とりわけ、有機の基準を維持する上では、たゆまぬ人の手間を必要とします。このことだけでも生産コストの上昇は理解のいくところです。その後の流通を経ての消費者物価へのはね返りは必然と言えましょう。

◆オーガニックへのニーズは一層高まる◆

いま、健康で安全な食への意識の高まりは、日本以上に西欧世界で大きな高まりを見せています。多少の負担増を容認しながら、オーガニック食品を求める意識はとどまることを知りません。少し飛躍しますが、今年、3200万人とも推計される訪日外国人の圧倒的な増加などを考えれば、日本における有機ニーズもこうした人々がけん引することになるかもしれません。 <M>

(2018年11月号掲載)

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