66.『オリーヴイオルが支えるパスタ小史』②

~マカロニ・ウエスタンをご存じですか?~

 

 「マカロニ・ウエスタン」、年配の読者には懐かしい響きではないでしょうか?1960年代から70年代にかけ、一世を風靡したイタリア製を中心とした西部劇映画の総称です。しかしこれは日本での造語、西欧ではスパゲッティ・ウエスタンと呼ばれます。ウエスタン=西部劇と言えばアメリカが当たり前なのになぜイタリア?まずは、マカロニとイタリア人移民の関係から。

 

 ◆イタリア移民とマカロニの間(あいだ)◆

 

 ウィキペディアによれば、アメリカのイタリア人移民は合衆国総人口の凡そ6%、約1780万人と推計されています。それは現在の統一イタリアが誕生して間もなく、1880年代から急増したとされています。そして、その多くは貧困から逃れるためのイタリア南部からの移民でした。彼らがアメリカの地で生活を成り立たせるには、多くは今でいうブルーカラーの職業に従事せざるを得ませんでした。そんなイタリア移民にとって、自国の文化と民族としてのアイデンティティを維持するのに重要な役割を果たしたのが、それは決して贅沢とは言えない食べ物“マッケローニ(マカロニ)”でした。彼らはいまでもスパゲッティなどのパスタの全体をさしてマカロニと呼んでいるそうです。

 

 ◆イタリアであることの証(あかし)・マカロニ◆

 

 イタリア語の辞書で「マカロニ」を引くと、食べ物とは別に“まぬけ”といった意味や、18世紀の英国では、イタリアなどヨーロッパ大陸帰りのしゃれ者をマカロニと呼び、今日でもなお「しゃれ男」をそう呼ぶとあります。映画に話を戻しますが、マカロニ・ウエスタンとは、本家アメリカから見れば、まがい物のウエスタンという皮肉やある種、侮蔑を込めた呼び方なのかもしれません。とは言え一匹狼の無頼のガンマンが悪い奴らを容赦なく倒していくマカロニ・ウエスタンの娯楽に徹したお決まりストーリーは、観る者にとっては、ある種、胸の透くような爽快感を覚えたのも事実。やはりマカロニはイタリアの証=アイデンティティそのものなのかもしれません。<M>
2019年10月号掲載

 

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