62. 『日本産オリーヴオイル事情』①

 消費されるオリーヴオイルの大半をイタリアやスペインなど地中海周辺諸国に依存しているわが日本ですが、ここ数年、そうした状況に変化が表れてきました。比率はまだまだ低いのですが、それは「国産」オリーヴオイルのいわば“台頭”です。今回からはしばらく、あまり知られていない国産のオリーヴオイル事情を探ってみます。

 

一世紀を超えた、日本のオリーヴ栽培

 

 現在では知らない人はいないのではないかと思われるくらい有名になった香川県は小豆島のオリーヴ栽培。実はここまで来るには、挫折と苦難の歴史があったようです。史料によれば、時は明治、文化の先進地域・西欧に追い付け追い越せとばかり、明治41年、国の殖産興業政策によって、アメリカから東京・三田の育種場に苗木が輸入され、栽培したのが、日本におけるオリーヴ栽培の起源とされてます。その後、香川、三重、鹿児島の各県で栽培が始められますが、この試みも、地中海性気候に似ているとよく言われる香川県を除いてはいずれも失敗に終わります。その要因はいくつかあるようですが、土地の性質や気候などによる成長の伸び悩み、そして、日本にしか生息しないと言われるオリーヴ・アナアキゾウムシによる被害などであったようです。そうしたなか、唯一、香川県だけが生き残る結果となったわけです。しかも最近のデータによれば、香川県の耕地、栽培面積は160ヘクタールを超えたということです。こうして、さまざまな苦難に遭遇しながらも、生産者たちの不屈の努力と、関係者のたゆまぬ協働によって、オリーヴ栽培が日本に導入されてから、なんと110年もの長い時間を刻んでこられたというわけです。
 さて、次号では、こうした苦難を乗り越えて、ひろがる日本の栽培エリアと「国産」オリーヴオイルの未来を覗いてみたいと思います。 (M)2019年6月号掲載

 

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