119.バルコニー・コンサート

根付いている音楽♪

本紙7面「オリーブオイルの旅」は、居ながらにしてリアルなイタリア事情を見て取れる楽しみなコラムです。5月号ではコロナ禍のバルコニー・コンサートが紹介されていました。イタリア人は音楽が生活に根付いていると先輩たち聞いていましたが、あらためて納得しました。
オペラはイタリアのフィレンツェが発祥とされ、他の国や地域に広がっていきました。オペラは音楽・演劇・文学・美術(舞台美術・衣装)を包括する総合舞台芸術といわれていますが、それぞれの素地がしっかりと根付いたからこそ、統合されたオペラができたわけです。つまり、そういう文化度がイタリアをつくっていたわけで、その一つが音楽なわけです。ロッシーニ、プッチーニ、ヴィヴァルディといった作曲家の名前をご存知だと思いますが、彼らはオペラを作曲しており、今もイタリア人の誇り、偉人という位置付けです。

 

アリアを歌っている気分♬

愛や人生の詞をメロディーに乗せての歌唱は、イタリア人にとって日常のようです。コロナ禍で家に閉じ込められても、その日常を失うわけにはいかないと、バルコニーで歌い合唱するのは、納得を超えてすごい人たちだと感じます。オペラのなかでの独唱をアリアと言いますが、ソプラノ(女性)だけでなくテノール(男性)によるアリアも聴かせどころ、聴きどころになります。バルコニー・コンサートは不安感を弱め勇気を与え合うなど、一体感を抱くための最適なコミュニケーションとなっているようです。バルコニーで歌う人々は、オペラの舞台に立ってアリアを歌っている気分なのだろうと感じました。

(服部 伸一 エッセイスト・写真家)
集合住宅管理新聞アメニティ454号 (2020年7月号掲載)