108.ボサノバ

ジョアン・ジルベルト

 

7月6日、ジョアン・ジルベルトさんがこの世を去りました。88歳でした。彼はブラジルの歌手でギタリスト。1950年代後半、ギターでサンバのリズムを表現しながら、そこに新しいハーモニーで彩り、ささやきかけるようなデリケートな、今までになかった音楽表現を創り上げました。それに着目したのが作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン。彼が歌うことを見据えて多くの曲を作りました。それが、「新しい潮流」を意味する「ボサノバ」の誕生というわけです。
サックス奏者のスタン・ゲッツとの連名アルバム『ゲッツ/ジルベルト』を1962年にレコーディングし、1964年にグラミー賞にて最優秀アルバム賞を獲得。ボサノバがアメリカで流行るきっかけになりました。しかし、本来のボサノバとは異なるという意見もあったようです。

 

ライブCDとライブ映像

 

彼の初来日公演は2003年でした。日本の聴衆の集中力に感動し、「この聴衆を私は数十年間、探していた」と熱く語ったとされます。この時、記録用に録音していたライブ音源のCD化を希望し、翌年に『ジョアン・ジルベルト・イン・トーキョー』が発売されました。
その後も04年、06年に来日公演を行い、06年のコンサートを収録した映像ソフトが今年(19年)『ジョアン・ジルベルト ライブ・イン・トーキョー』として発売されました。これが唯一の公式ライブ映像ですが、世を去った今年に重なったことを彼と日本の因縁を感じがします。
彼のボサノバで広く親しまれているのは、「イパネマの娘」ではないでしょうか。読者もきっと耳にしているのではないかと思います。

 

(服部 伸一 エッセイスト・写真家)
集合住宅管理新聞アメニティ443号 (2019年8月号掲載)

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