107.三人でベーシー!

ふつうじゃないライブハウス

 

誘われて、ジャズのライブを1年ぶりに聴きました。初めて聴くメンバーに対する期待で、何日も前から、遠足を翌日に控えた小学生のような気分でした。誘ってきたのは、アマチュアながらクラリネットが巧く、モーツアルトのクラリネット協奏曲を演奏したこともあり、ジャズも演るという筆者の後輩です。
一般にライブハウスは雑居ビルの一隅にあるなど、そもそも音響などはあまり考えられていないのが普通です。ジャズだから、そんなもんでしょ、という意見もありそうです。訪れたライブハウスは5階部分にあり、上を見上げると吹き抜けになっており、それも3階分の吹き抜け。びっくりしました。ビルのオーナーが建物を建てる時にライブハウスをきちんとイメージをして設計したようです。

 

三人でベーシー!

 

クラリネット谷口英治、ベース小林真人、ギター有田純弘の「三人でベーシー!」というトリオ。「カウント・ベーシーのようなジャズを3人で演る」と、演奏の合い間に谷口さんから語られました。
谷口さんのクラリネットは素直・鷹揚。曲に応じて尖った感じや逆に端正でなめらかな、自在で巧みなコントロールの素敵な演奏でした。ライブの楽しみは語りにもあり、奏者の音楽履歴や人間性が伝わってきます。演奏が良くても、人間修行がいまいちでは音楽に深みがありません。谷口さんの語りは納得感が得られ、音楽との相乗効果によってライブハウス全体がハッピーな空間に覆われました。もちろんギターとベースのお二人のウデも相当なもので、それがあってこそ谷口さんのクラリネットが生きたのはいうまでもありません。
久しぶりのジャズで陶酔感を獲、本当にしあわせでした。

 

(服部 伸一 エッセイスト・写真家)
集合住宅管理新聞アメニティ442号 (2019年7月号掲載)

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