災害関連死ゼロの社会を目指す(7)

台風15号が残した新たな教訓

 

 

 

 

 

 先月9月9日に千葉県に上陸した台風15号は、平屋住宅の屋根を吹き飛ばすといった建物被害や、大規模停電や広範囲での断水といったライフラインの停止をもたらしました。特に高電圧の電力を供給する送電塔や、千葉県内を中心に多くの電柱が倒壊するといった被害は、最大瞬間風速が50メートル/秒を超える台風の風がもたらした「風害」の特徴です。
 またそれに加えて、被害状況の把握に時間が掛かった点も大きく取りざたされました。電話などの通信回線も停止、また南房総の山間部では、倒木により集落に入る道が閉ざされ、直接被害状況を確認することが困難となったことがその一因です。そのため、情報が入らない被災地域では「何が起きているのかが分からない」ため、対応策に窮することへつながったと言えます。

 

いのちの問題につながるライフラインの重要性

 

 耐震性に優れる集合住宅は、当然ながら強風にも強い建物構造です。したがって、窓ガラスが割れるといった被害は発生しますが、建物自体が倒壊するような直接的な被害はほとんど発生しません。ところが今回の台風15号は、ライフラインの停止がもたらす生活上の厳しさを私たちに付きつけました。地震災害とは異なり、集合住宅の住民は、揺れによって室内が散乱、あるいはその後の地震(余震)が続くために自宅に住み続けることができないといったことはありません。しかし9月という夏場の災害であったため、停電により空調が停止し、病院や特別養護老人ホームに入院、入所している高齢者が熱中症により亡くなる事案が発生しています。電気や水道といった生活上必要なライフラインが長期間停止することは、直接いのちに関わる問題につながっていくのです。

 

記録的な暑さや豪雨が身近な時代になる

 

 さて、今回の被害は台風15号特有のものなのでしょうか。環境省など5省庁は、昨年2月に「日本の気候変動とその影響」というレポートをまとめています。レポートでは、温暖化傾向にある状況から、21世紀末には最大で年平均気温は5・4度上昇、最高気温が35度を超える猛暑日も最大で54日程度増加すると予測されています。また20世紀末では「300年に一度の豪雨」が、21世紀末には「100年に一度の豪雨」として発生すると予測されています。令和の時代は、新たに暑さへの対策、そして大雨や強風への対策が、防災上欠かせない視点として必要になってきたと言えるでしょう。

 

 

・災害関連死ゼロフォーラム
http://zero-forum.jp/

 

・一般社団法人地域防災支援協会
http://www.boushikyo.jp

 

・一般社団法人日本環境保健機構
http://jeho.or.jp

 

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2019年10月掲載)

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