67.『オリーヴイオルが支えるパスタ小史』③

 

 

 ~小規模生産者の矜持を守ろう~

 

 パスタを主要な食材として世界に旅立つきっかけとなったのが『乾燥』という保存技術にあったことは先号で触れました。しかし理由はそれだけではないのです。本場イタリアに限っても、その数300とも600とも言われる乾燥パスタの種類。さまざまなレシピを可能にする柔軟性にもあるようです。

 

 ◆売れ筋に傾くメジャーな生産者◆

 

 宣伝をするつもりはありませんが、いま、日本のご家庭で食卓に上る本場イタリア産のパスタと言えば、ディチェコ、バリッラといった言わばメジャー企業がつくるものが主流。しかし、家族経営的小規模生産者が産業構造の土台となっているイタリアでは、これは例外に属するのです。メジャー企業で作られるパスタは言わば“売れ筋”なのです。多品種、少量生産では効率が悪いのです。ビジネスという面から考えればそうした方向に傾斜していくのを、一概に悪いとは言えません。だだ、別な意味でイタリアの良さでもある小規模生産者が作り上げる他ではまねのできない門外不出、伝統的な製造技術や、良質な素材とのマッチングなど、消えてほしくない財産がたくさんあります。しかし、これらを維持していくには、材料の確保、職人の技術、かかる手間暇など、コストが掛かりすぎます。

 

 ◆120種類にも上る伝統パスタ生産者◆

 

 これも南イタリアはナポリ近郊に、トッレ・アンヌンツィアータという、一見寂れた港町があります。ここに、伝統的な製法を頑なに守っている小さな生産者がいます。その「セターロ」では、今も120にも上る種類の乾燥パスタを作っています。可能な限り機械に頼らず、乾燥も自然の天日での乾燥にこだわっています。イタリアでは、パスタはアルデンテ(固ゆで)が基本。私たち日本人にとっては、この硬さに少し抵抗があるかもしれません。ここのパスタは、口に入れた瞬間にそうした懸念を捨て去ってくれます。“自然に固め”これが何とも言えず心地よい、絶妙な食感を生み出します。続きは次号で。
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2019年11月号掲載

 

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