2回目の大規模修繕工事

多摩川芙蓉ハイツ
多摩川芙蓉ハイツ

(東京都・大田区)

八生設計事務所 1級建築士 近藤武志

1.建物概要

多摩川芙蓉ハイツは、多摩川に沿って、4棟の建物をエキスパンションジョイント金物により連結された14階建・398戸の建物である。

2.管理組合の取組

大規模修繕工事のコンサル選定及び建物劣化調査・修繕基本計画・修繕設計までは、管理組合の下部組織として設立された修繕委員会が、理事会の求めによりコンサルが作成した資料の検討を行い、その結果を理事会に答申して進めた。工事着工後は、理事会三役を中心とした管理組合理事、コンサル、施工会社の三者による工事打合会を毎週のように開催し、居住者への広報、居住者からの問い合わせ、工事項目・内容の見直し、工事費の増減等について打合・検討を行い、工事を進めた。建物劣化調査から竣工までの作業スケジュールは、以下の通りである。

建物劣化調査:
平成15年7~10月
修繕基本計画:
平成16年3~5月
修繕設計及び工事予算書作成:
平成16年6~8月(アプローチゲート設計:10月)
見積会社選定及び施工会社選定:
平成16年9~11月
臨時総会:
平成16年12月
工事着工:
平成17年2月
竣工:
平成17年8月

3.修繕工事の特長

グレードアップ等

■外壁塗装

バルコニー・開放廊下・大庇見付は、ひび割れが多く見られたため、コンクリート躯体の保護・漏水防止のため、旧塗材を全面除去し、コンクリート躯体の劣化部補修後ひび割れ追従性の高い高弾性塗材で再塗装を行った。エレベーターホール外壁、マンションの入口廻り妻外壁は、意匠性の高い石材調塗材で美観のグレードアップを行った。尚、過去に漏水してひび割れ補修されていた妻外壁上部は高弾性塗材を採用し、住戸内への漏水防止を行った。

■バルコニー床

コンクリート床をビニル床シート貼り、排水溝・巾木・アルミ手摺下笠木部はウレタン塗膜防水を施し、防水性能・美観の向上を行った。

■開放廊下

スチール製連結送水管ボックスをステンレス製へ取替。メーターボックス扉の上下開口部にハトや猫の侵入防止対策としてステンレス製パンチングメタルの取付を行った。

■エレベーターホール

各階エレベーターホールに、ホテルの廊下に見られる方向別住戸番号のステンレス製サインを新設。

■屋外鉄骨階段

柱・梁・踏面・ササラは重防蝕防水特殊弾性エポキシ塗料、手摺はアクリルシリコン樹脂塗料を使用し、錆・著しい変退色・塗膜の剥離に対するカシ保証期間を5年とした。

■外構

開放廊下側の棟前構内道路(アスファルト舗装)を、車道仕様のインターロッキングブロック舗装とともに歩車道の境界にあるL字型側溝を段差のない物に取替えた。(バリアフリー化)歩道のコンクリートカラー平板舗装部は、研磨ショット平板に取替えた。エントランス廻り外構コンクリート舗装部は、後付押型デザイン床工法によりグレードアップをして再塗装を行った。

■アプローチゲート(敷地入口廻りゲート)新設等

当マンションの敷地入口廻りは(アプローチ)の現状は、隣接する区立図書館とマンションのプレイロットにはさまれ、マンションの入口には見えない状況であった。敷地内の車道は、公道の延長のように思われ、また、夜は薄暗く見通しが悪いため、敷地入口廻り(アプローチ)全体を見直し、ゲート設置工事と共に周囲の環境整備を行った。

区立図書館側は垣根を設け目線を遮り、プレイロット側は歩道廻りを広げ、植栽等で豊かな空間とし、また、敷地内の車道と歩道との間に交通安全の為、花壇を設け人と車の分離をはかった。

ゲートは消防のはしご車や震災時の緊急車輌等が通れる高さを確保し、出入口左右の歩道にコンクリートの柱を立て、歩道上部は水平に鉄骨製の梁を渡し、敷地内の車道上部はアーチを架け立体的な構成と致した。

また、敷地入口廻り(アプローチ)の照明、花壇、看板や案内板等も、周囲の環境と調和し、統一感のあるデザインとした。

<アメニティ新聞276号 2005年9月掲載>