マンションの機能・イメージ一新。発想の転換が新築同様の団地に再生!

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とよはる台サンハイツ

(埼玉県・春日部市)

今月は、設備更新に注力した事例として、とよはる台サンハイツ大規模修繕工事を、管理組合の理事長様にうかがいます。


大規模修繕の実施時期延ばせば他の工事も充実

当マンションの大規模修繕は、築27年目の今回で2回目。第1回目の大規模修繕は、築12年目の昭和64年。この時は、住宅金融公庫から総工事費1億7千万円の半分を借りて実施しました。

この経験は、修繕積立金の大切さを教えました。3年かけて長期修繕計画を検討し、そろそろ中間修繕の時期でもある平成7年に値上が決定。翌々年から3年間に1回、毎年平均4000円の値上げをするという、今考えるとものすごい内容でした。繰り返し説明した方針は、「漏水事故多発化防止によるマンションのスラム化防止」「35年目超大規模修繕(住宅内の配管類の交換工事)の統一的実施」「一時金徴収も、借金もしない修繕工事の実施」でした。

今回は、この計画の中間修繕と2回目大規模修繕の資金が原資となったため、沢山の計画外の工事が実施できました(下表参照)。修繕積立金も4000円値下げができました。

大規模修繕工事内容一覧

項目 第1回目大規模修繕 第2回目大規模修繕
1. 玄関ドアの交換 鉄部塗装を止め、全交換:持ち出し工法:ダブルロック
[計画にないが今回実施した工事]
2. 階段室水道管横引管の交換 全交換
3. スチール製手摺をアルミ製手摺に交換 手摺塗装 鉄部塗装を止め、アルミ製手摺に全交換
[計画にないが今回実施した工事]
4. 目地シーリング 全面撤去交換 全面撤去交換
5. 屋上防水工事 線防水を面防水に 断熱防水に
6. ベランダ防水工事 無地をウレタン防水に

長尺シート防水
[計画をグレードアップした工事]

7. 階段防水工事 無地をリムスプレー防水に 長尺シート防水
[計画をグレードアップした工事]
8. 外壁塗装工事 リシン吹きつけを微弾性アクリルヘッドカットに ローラ押さえ、微弾性アクリル
9. 建物の付属設備 郵便受交換、階段室街灯の交換等 外観から見える建物の付属物全て撤去交換
[計画にないが今回実施した工事]
10. 水道管近埋設管 全面新設
11. パイプシャフ扉 塗装 全面撤去交換:焼付鋼板
[計画にないが今回実施した工事]
12. ゴミ置場屋根・ドア取り付け ブロック塗装 ポリカーボネイト屋根設置、ドア交換
[計画にないが今回実施した工事]
13. 建物腰壁 セメンシャス塗装 タイル張り
[計画にないが今回実施した工事]
14. 建物回り砂利部 砂利部に洗い出しコンクリート敷設
[計画にないが今回実施した工事]
15. 建物回り通路等 アスファルトをインターロッキング敷設
[計画にないが今回実施した工事]
16. 自転車置場撤去処分・土間コンかさ上げ 撤去処分、コンクリートかさ上げ
[計画にないが今回実施した工事]
17. 自転車置場製作・取り付け 鉄部塗装 アルミ製骨材・ポリカーボネイト屋根
[計画にないが今回実施した工事]
18. 街灯新設、撤去交換 駐車場へ新設、既存撤去交換
[計画にないが今回実施した工事]

長期修繕計画:中間修繕(平成8年:9700万円)
第2回大規模修繕(平成15年:175000万円)
今回の長期修繕計画の見直しでは、次回の大規模修繕は13年後とし、築37年に予定していた住宅内配管の全交換を26年後(築42年)としたため、修繕積立金の値下げが可能となった。

必要な発想の転換

大規模修繕といえば、「防水工事」と「外壁塗装工事」というイメージが定着しています。単棟のマンションは別にして、複合棟、団地型のマンションでは、この発想だけでは不十分ではないでしょうか。マンションには、手すり、ゴミ置場、自転車置場、通路といった様々な付属設備、付属の建物・施設があります。マンションの美観は、これらが一体となって形づくられているため、防水工事と塗装工事だけでは、老朽化・景観の劣化は止められません。

中古相場が下落してしまいました。工事の資産価値の維持のためではない。自分の住んでいるマンションをきれいにしたい。きれいなマンションに気持ちよく住みたい。これが実現できる理想的な工事を考えてみよう。マンションの機能・イメージ一新に結び付いたのは、この考えから出発したためです。

コミュニティからアメニティ

東京都の調査では、修繕積立金を設定しているマンションは、全体の87%。修繕積立金を長期修繕計画に基づき設定しているマンションは、100戸以上のマンションでも61%、19戸以下では37%です。

「なにをどうするか」「お金はどうするか」「住民の合意をどうつくるか」これはマンション管理の基本。しかし、始めの2つの議論の段階で意見が分かれてしまいます。

合意形成には、様々な工夫と一定の時間が要ります。助言・支援制度が整いつつも、居住者が動かないことには、何事も成らないのがマンションです。知は力。継続は力。傍観者から主人公。コミュニティからアメニティ。古くて新しいマンションの課題こそ、マンション一新(再生)の道です。

(とよはる台サンハイツ団地管理組合法人/理事長・八代倉松)

〔概要〕
埼玉県春日部市増富158
昭和52年三建不動産分譲
PC造5階建8棟、総戸数305戸
新日本管財に委託管理
管理費1戸月平均6,500円、修繕積立金18,000円
駐車場(287台)5000円(1台月)
専用庭使用料1,000円
自転車500円(1台月)
ペット(犬・猫)飼育料500円(1匹月)
管理組合理事15名(2年任期)、監事2名(2年任期)

<アメニティ新聞250号 2003年7月掲載>