建物の数量に違いが発生するのはなぜか?


 大規模修繕工事や長期修繕計画の工事費算出に、分譲当初より管理会社から提出された新築時の数量表と言われる数量を採用してきました。今回、3回目の大規模修繕工事の設計監理を設計事務所に依頼するにあたり、数量は既存の数量表があるので数量算出は不要として設計料の見積依頼し、その設計事務所に業務を依頼しました。ところが設計事務所よりその数量表をチェックしたが全体的に数量が多いと言われたため、数量算出も追加で依頼したところ、今まで使用していた数量表の外壁や足場の数量が3割近く多めになっている事が判りました。
 過去の修繕工事はこの実際より多い数量で発注してきた事になります。この様に建物の数量がどうして違いが発生するのでしょうか?


 大規模修繕工事等で施工会社に数量算出を含めて見積を依頼すると、施工会社毎に数量が異なっています。これは数量算出の精度の問題です。外壁の数量を算出する際、①窓やドアなどの開口部を控除せず算出したり、②物差しで図面の寸法を測り算出したり(新築設計時に変更があり寸法のみ修正し図はそのままにしていると、図と記入寸法とが異なる場合がある)、③記入寸法で算出したり(記入寸法は外壁中心寸法ですので壁の厚みを加算しなければ実際の外壁寸法になりません)すると、①の算出方法では数量が多くなる②は寸法のみを大きく変更してあると数量が少なくなり、小さく変更してあると数量が多くなる③では数量が少なくなることになります。又、これらが複合して数量に違いが発生します。
 前回の大規模修繕時の見積書の数量を流用したりすると、この様な間違った数量で、工事を発注する危険性があります。設計事務所に設計を依頼する際は数量調書作成も合わせて依頼する事が望まれます。
  数量調書とは各部位の面積や長さ・個数などの数量を、算出根拠の計算式を書いた計算書の付いた数量表です。計算書が付いているとその数量の根拠が明確になり、将来にも安心して流用できます。又、同じ部位で一部分だけ仕様を変更する場合でも変更部分の数量を算出しやすくなります。数量調書の無い数量は鵜呑みしない事が大切です。

回答者:NPO日住協協力技術者 
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2017年4月号掲載)

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